002話 ◇◆少女フラワー◆◇
「レベル100? うそだろ??」
「信じられないがレベル確認してみるか」
テイマー Lv100
名前 クロ・エンジュ
年齢 20歳
性別 男
種族 ヒューマン
スキル
収納能力【Lv10】
敵引きつけ能力【Lv10】
使役術【Lv10】
魅了【Lv10】
交渉上手【Lv10】
???【Lv10】
見た事もないスキルがたくさん書いてある。
相変わらず???のままだ。
「本当に上限まで上がってる。 ただテイマー身近に居なかったし。 いまいち能力がわからないけど」
『テイマーは主に使役術を使われると思われます。 テイムはある程度、友好な関係でないと発動しません。 なのであまり友好でない者には魅了後に使うことをオススメします』
「なんだか、声が聞こえたな……。 まぁいいか、とりあえず色々試してみよう……」
仲間を見つける場所はあるかな。
いやパーティーになってくれる人はいないだろう。
どこか良いところはあるかな。
そうだ、奴隷商のところに行ってみよう。
奴隷なら、俺が使いものにならなくてもバカにはしないだろ。
それに奴隷商、あいつらは犯罪まがいの事をしている奴らだ。
スキルの試し打ちを心置きなくできる。
◻︎
「奴隷貿易商に何のようでございましょう? お客様」
ここは奴隷市場。
目の前で接客をしているのは、いかにも悪そうなおばさん商人である。
「正直あまり期待はしていないが少し実験してみるか」
「何かおっしゃいましたか?? お客様」
「いや別に……」
「この奴隷商ヒカキに用があると言うことは、仕事をさせる生き物を探しているのですね??」
「まぁそんなところだよ」
--スッ
俺は奴隷商ヒカキに手を当てた。
「魅了 発動」
「あれ?? お客様なんだか私の兄にそっくりですね。 目元とか特に似ています」
「そうか?? あんまり嬉しくはないな。 もう1つのスキルも試しに打っておくか——」
俺は、ヒカキに使役術を発動した。
「う…あ…あああああああああ!!」
「なんだ?失敗したのか?」
—ガシッと俺の肩にヒカキの両手が強い力で掴みかかる。
「なんだかあなたの事が大好きになってしまいましたよ。 どれか、お一つ好きな奴隷を差し上げます。 お代は要りません」
本当はお金は渡すつもりだったが、くれると言うのだ。
ありがたく頂くとしよう。
「ありがとう」
俺は魅了がヒューマン相手にも発動する事が出来ること、そのままテイム出来る事を確認し、奴隷を見て回っていると………。
「わぁ……綺麗」
そう呟いたのは首輪をはめられた奴隷の少女であった。
「君、名前は?」
「私は、名前が無いんです」
「え?」
俺はとっさに聞き返してしまった——確かにどこにも名札らしきものがない。
「私ね、奴隷になった時に名前を取られちゃって。 奴隷としていろいろな実験している中で元の名前も忘れちゃったんです」
「そうか、辛いこと思い出させてごめんな」
「ううん、さっき綺麗な魔法見せてくれたのですから」
こんな話して辛いであろう——しかし、彼女は美しく眩しいーーまるで一輪に咲く花のような綺麗な笑顔で俺に微笑んだ。
「君、俺と一緒に来ないか?」
咄嗟に俺の口から言葉が出てしまった。
「さっきの魔法見せてくれませんか?」
「いいけど……。 むしろ怖くないのかい?」
「怖くないですよ、あなたの魔法本当に綺麗だったもの」
魅了は魔法じゃなくてスキルなんだけど……。
まぁいいか。
--スッ
俺は彼女の目の前で魅了を発動した。
「ねぇ、私に名前をつけてくれませんか?」
「わかった、君に名前をつけるよ」
「はい!」
「花のように可憐な少女だから、君の名前はフラワーだ」
「フラワー! 素敵……いい名前ありがとうございます!」
俺はフラワーの鎖を外し——奴隷市場を後にした。
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