016話 ◇◆兄弟◆◇
「スカイに着いたはいいけど——どこにいるのかしらね」
「こいつの出番だよ」
俺はそう言うと、袋の中から大柄の男を引っ張り出した。
「へへっ。 こんな事されてしゃべるやつがいるかよ」
ぺっ、と口から血を唾のように吐き出す大柄の男——。
「せっかく何年も練って計画してきたのに、あんなふざけた魔法陣のせいで全てが水の泡だ」
「そういえば、ハオとか言う男が、ゼラの兄貴がとか言っていたが。 その男知らないか?」
「はぁ?ゼラは俺だよ」
「えっ。 あっさり負けたこんな奴がボスだったの……?」
アリサは少し笑いを堪える。
「アリサ笑うのはだめだ。 丸こげで縛られてマヌケな姿してたって——こいつはボスなんだから……ププッ」
「クロさんこそ……」
「クロ様なにがおかしいんですか?」
「いや、フラワーなんでもないよ」
「まぁ時間かかるのもめんどくさい。 さっさと終わらせよう」
こいつ腕っ節強そうだし。
傭兵としてテイムしておくか。
「 複合スキル 魅了テイム 発動 」
あっ、ついでにこれも。
「 複製 発動 」
◻︎
「びえーん 死ぬかと思った」
「ふぅ生きた心地がしなかったよ」
「本当にありがとう」
「お兄ちゃんありがとうね!」
「ーークロ!お前に助けられるとは思わなかった」
「シオン、お前………」
俺はゆっくりシオンに近づき——。
「お前偽物じゃないのか? ん??」
シオンの頬を引っ張った。
「いでででで。 お前、何言ってるのかわからないぞ」
「まぁシオン達を拉致していた2人組の男も倒したし、安全だぞ」
「え?僕が捕まったときは3人いたけど。そしてそのうちの1人は君の……いや、さすがに見間違いか」
シオンが俺に何かを言いかけた。
「ん? 何か言ったか?」
「いや、なんでもないんだ」
◻︎
「クロ様、魅了で人質の居場所聞き出したり便利なスキルですね」
「普通に考えて反則級よ」
「あんまり生き物の心をコントロールするのは好きじゃないけど。 このスキルのおかげで故郷の人達を救うことができたよ」
「そういえば、故郷ですしーーお父様やお母様はいないのですか?」
「あぁ、俺小さい頃から兄と2人で生活してたから。 親は居ないよ」
「そうだったんですね。 クロ様、申し訳ございませんーー」
「いやいいよ。 親に関する思い出や記憶とか無いから、今いるのかどうかも分からないんだ」
「そうだね。 俺もクロも、親の顔すらわからない」
何事もなく突然出てきて男は言った。
見た目は俺とそっくりだ。
違いがあるとすれば、髪の色が俺とは正反対の白色の少年。
「シロ兄ちゃん……」
そう……俺の兄だ。
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