015話 ◇◆正義感の強い勇者◆◇
カレンは1人——夜空を見ながら考えていた。
「はぁ。私も、あのパーティー抜け時かな………」
クロみたいに抜ける勇気もないし、だからと言って今の環境がいいとも思わない。
「クロはいつの間にか、新しい仲間を見つけて強くなってたんだなぁ……」
「「あんた、戦わないくせに無駄に敵を引きつけるのほんと迷惑。あんたが逃げ回るせいで敵がどんどん移動するもの」」
よくもまぁ、そんなことが言えたもんだ。
クロは気付いてないかもしれない。
クロが敵に追われた時に、私と離れて逃げ回っていたことに。
私に危険がないように、してくれたのだと思う。
ただ本人に確認する勇気がなかった。
「そういえばクロが抜けた時、私ひどいこと言った後1人で泣いてたんだったなぁ」
どうして私も一緒にパーティーを抜けるなんて言えなかったのだろう。
後悔ばかりが私を襲う。
--ズズズズ
黒い影がカレンの横に現れる。
「あなた誰?」
「クロの兄だよ」
「シロお兄ちゃん!?」
「俺と一緒にクロを連れて帰ろう。 さっきの聞いてたよ。 抜け出したいんだろう? 今の自分から」
「……うん」
◻︎
「そろそろスカイに着くわよ」
「はじめてスカイに来たけど、凄いな。 雲で島が出来てる」
「ん、何やら袋の中が活発的に動いてるな。 さっきの大柄の男が暴れているのか?」
俺は袋を覗き込むと——。
「うわああ。 襲ってくるなぁ!」
--バクバクバク
ビートが1人で暴れながら経験値を食べていたのだ。
「ビート! おすわり!」
「ばれちゃった………シュン」
「残りの経験値はフラワーとアリサにあげよう」
本当は、自分以外に均等に分けるつもりだったが——。
「クロ様、俺2口しか食べてないです……」
「あっそ。 残りはあげないけどな」
「シュン」
ーーー空の上の島スカイーーー
--ボフッ
--ボフッボフッ
「雲の上を歩くの不思議な気分になりますね。 クロ様」
「そうだな、アリサは翼あるし、よくここに来るのかい?」
「うーん、私も2回しか来たことがないわ。 龍同士の抗争と勇者に追われた時かな」
「勇者の剣が刺さってた時——ここから逃げたの?」
「そうよ、ここから逃げてクロさんと出会ったの」
アリサはチラチラとクロの方を見ながら言う。
そういえば、アリサと出会った時不意打ちで勇者にやられた。
そう言ってた気がする。
正義感が強くてずるい事が嫌いと評判の勇者の行動とは、とても思えない。
俺は、勇者の事を考えていた。
アリサがチラチラ見ていたが——俺はまたもや気づかなかった。
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