134話 ◇◆黒龍の鱗◆◇
「これは何でしょう?」
ミーチェが物珍しそうな表情でビートの持っている何物かを見つめている。
俺もその何物かに目を向けた。
黒く澄んでいてキラキラしている。
「うわぁ。 綺麗ですね」
フラワーはマジマジと見つめた。
俺はその黒くキラキラした物を手にとる。
「これは…龍の鱗?」
「その鱗は確かに龍で間違いなさそうです」
アリサが鱗を見ながら言う。
「どの龍族のか分かる?」
俺の質問にアリサは首を振った。
「やっぱりアリサでも会った事ない龍多いのか」
「そうですね。 さすがに出会った事ない龍族は多いです。 龍族自体そんなに沢山いる種族ではないとは思うのですが。 むしろクロさんは龍族に遭遇し過ぎな位です。 でもこの鱗はもしかしたら有名な龍の物かもしれません。 私も噂を聞いただけの龍族なのでまだ断定するのは早いですが」
「そんなに有名なら俺でも知ってる?」
俺は冗談半分で質問したがーー。
「この前話していた龍です」
アリサは真剣な表情で言った。
「もしかして、この前土龍クルルさんが言ってた同族殺しの龍か?」
コクリと頷くアリサ。
「はい。 黒い龍だと言う噂は聞いていたので、この鱗がもしかしたらその龍のものかもしれません」
俺は黙って黒い鱗を見つめた。
同族殺しの龍と屋根の上の何者か…それにシロ兄ちゃんーーこの3人に何かしら接点があるのかもしれない。
ーーー
「そういえば島長。 あの事は式典で言わなかったのか」
島長と島の出店のオーナーであろうおじさんが話している。
「言うつもりだったのだけれどね」
島長のウィンドはおじさんの顔を見て答えた。
「私が地上人ではなく風龍で龍族の1人だって事。 あの騒ぎの後だったから言うタイミングを逃してしまったよ。 それに多分気づいてる者もいそうだ」
「そうなのか?」
おじさんがびっくりした様子で質問をする。
「同じ龍がいたからね。 会ったのはかなり昔だから忘れてるかもしれないがね」
「ねね。 その話…私聞こえてるの大丈夫だった?」
リーシャがこそっと顔を出した。
「リーシャ殿。 ここに来て良かったのですか? まだ安静にしていた方が…」
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