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132話 ◇◆獣人族とエルフ◆◇


「よかったぁ……。 やっと……目が覚めたんですね」


 小さい声でホッとしたように言うエルフの長マイン。


「どうして僕はここに?」


 獣人族のロスはベッドに横になっている自分ーーそれに目の前にはエルフの長がいる、この異様な光景に困惑していた。


「覚えて……いないですか?」


「覚えていない…?」


 聞き返した後、ハッとするロス。


「も、もしかして僕は何かとんでもない事をしてしまったのか!? そうだとしたら覚えていないなんて勿体ない… 。 くそぅ」


 と心の中でロスは呟く。


「ずっと水分も摂らず……歩き回っていたでしょう? 倒れていたので私の家まで運んできたのです」


「あぁ、僕は倒れたのか。 本当にありがとうございます。 それにしても僕を担いできたのですか?」


 ロスは自分よりもだいぶ体格の小さいマインがここまで運んだのか気になってしまった。


「そうですね……。 あなたを魔法で宙に浮かせながらここまで運んできました。 だいぶ目立ってしまったようで……他のエルフの方々にもあなたがここにいる事はバレていますね」


 ロスは、倒れたまま宙に浮かんで運ばれている姿を想像して恥ずかしくなった。


「あ、申し遅れました。 僕…ケルの弟のロスと言います」


「ロスさん……ですね。 弟さんだと……言うことは分かっていました。 何度か見かけたことはありますので。 それにしても……なぜ1人であんな所を歩いていたのですか?」


 ロスは自分がケルに命を狙われている事、獣人族の長になる為にケルを捕まえたい気持ちなどを話した。


「なるほど……」


 マインは真剣に話を聞いて思いついたような顔をした。


「ちょうど……私もーー黄金龍のプロメさんからケルさんを捕まえて欲しいと言われていたんです……。 もしよければ……我々エルフと協力しませんか?」


 ロスは思いがけない提案に一瞬固まる。

 獣人族の教えはーー魔族と協力しても裏切りに合うのだから初めから協力しない。

 そうケル兄さんや獣人族からずっと教わってきたのだ。

 その事に疑問を持っていたロスだったが、実際に協力の提案を別の種族からされたのは初めてなのだ。

 ロスは獣人族の長でもないし当然の事なのかもしれないが。


「獣人族の根本から考えを変えるきっかけになるのかもしれない…。 それに、僕自身エルフの皆さんと協力してみたい…!」


 ロスは考えに考えたがマインの手を握った。


「ぼ、僕と一緒に…(仲間として)これから行動してください…!!」


 ロスは真っ赤になりながら初めて協力する決心をし、握っていた手を優しく離しーーそのままマインを抱きしめる。


「た…多分、これで信頼してるってアピールは出来たはず!?」


 ロスは一生懸命に自分はあなたを信頼していますという気持ちを表現した。


「ちょ……!? それって……!? 急に、こくは!? あ/// ハイ……」


 真っ赤になりながら力強く抱きしめてきたロスに、マインはチョンとロスの背中に手を当て返事をした。


「も……もし。 ロスさんも長になって魔王会議を一緒にする時は魔王の皆さんに……この事言いますよね?」


 マインは真っ赤になっている顔を地面に向けながら質問する。


「あぁ。 獣人族とエルフが協力しましたって俺達の事を一例として魔王会議の時に言うのかな?」


 他の獣人族にもこれからは種族関係なく手を取り合うきっかけ作りになるかもしれない。


「マインさんも気を利かせてくれたのかな…」


 そう心の中で呟いたロスはーーニコッと笑い頷いた。

数ある小説の中でこの作品を読んでいただいたこと本当にありがとうございます。


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