130話 ◇◆なぜこの矢が◆◇
「確かに。 島の方々を守りながら大人数を相手にするのは難しいかもしれませんね」
「リーシャの射抜かれた矢ってまだ残ってる?」
俺は医者に尋ねて矢を見せてもらった。
「この矢って…」
俺はこの矢に見覚えがあった。
「もしかして…」
フラワーが心配そうに俺の方を見る。
「あぁ。 この矢は弓使いカレンの矢だ…。 なぜカレンの矢が刺さっていたんだ…」
ーーー
「シロ様、ご報告があります」
弓を持った何者かが話している。
「トウカイ島の件か?」
「はい。 トウカイ島であなた様の弟さんがいました」
「あぁ、そうだろうなとは思ったよ。 それできちんと島長は始末できたかい?」
「いえ、寸前のところで邪魔が入りまして…。 身を挺して庇っていましたが、あの傷の深さ…遠くから見た限りではそう長くないかと」
「そっか。 クロのメンバーかな。 1人減ったのは好都合だね。 また何かあったら連絡してくれ。 それと…あの娘はどうしてるの?」
シロはニコッと笑い何者かに質問をする。
「部屋で監視しております。 手荒なマネはできる限りしないつもりです」
「そっか。 まぁ彼女の気が変わるまでゆっくり待つとするか」
「それではシロ様、私は次の準備をしますので…」
「あぁ、ありがとう」
ーーー
「むむむ…この矢はカレンさんの物。 ははん…。 私、分かってしまいました。 これって矢を放った犯人はカレンさんって事ですね!?」
ミーチェが虫眼鏡を持ちいかにも探偵のような格好で言った。
「いや、それはないと思う」
「話は聞きましたよ。 前のメンバーだから庇っているのですか?」
吸血鬼のカーミラが矢を眺めながら言った。
「そうじゃないんだ。 カレンは確かに弓使いなんだけど…。 昔から遠くから射抜くのが大の苦手でーーあんな風に矢を放たないんだ。 あそこまで遠距離ではなくもっと近くから、それに1本を集中して放つのではなくてーー必ず5本一気に飛ばすんだ」
「それって…相手を狙って放ってるのですか…」
アリサはヘロヘロと真っ直ぐではなく変な方向に飛んでいく矢をーー想像しながら言った。
「当たれば奇跡! って思いながら放ってるって小さい頃言ってたっけーー」
俺は昔の事を思い出しながら言った。
「もし弓矢の使い方が変わってなければーーあの矢を放ったのはカレンさんではないって事ですね」
フラワーは話を続けた。
「でも、そうなると…カレンさんの矢は誰かに盗られたって事でしょうか?」
「そこまではわからないけど…。 俺はリーシャに矢を放ったやつを野放しにするつもりはないよ」
俺は矢を握りしめて言った。
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