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129話 ◇◆容体◆◇


 リーシャの手を握っているナルが居た。

 側近のナルが泣いている。


「え…?」


 俺はどうなったのか聞くのが怖かった。


「リーシャさんの容態はどうですか?」


 島長のウィンドが気を利かせて医者に尋ねてくれた。


「リーシャさんの容態はーー」


 医者が言いかけたその時ーー。


「あれ…? みんな何してるの?」


 リーシャは目を覚まして尋ねる。


「無事だったのか!!」


 俺達はお通夜の様な雰囲気から一気に明るくなった気がした。


「ちょっと…。 皆してどうしたっていうのよ…」


 リーシャはベッドから起きあがろうとするがーー。


「つっ!?」


「まだ傷口が完全に塞がっていないので安静にしたほうがいいです」


 医者はリーシャを止め、近くにあったポーションの瓶を眺める。


「この傷の深さで生きている…。 応急処置のポーションのおかげですね…。 このポーションどこで手に入れたのですか…?」


「このポーションは俺が作ったんだ」


「!?」


 医者は目の前に隕石でも落ちたかの様なーーすごい驚きっぷりだ。

 正直、俺は顔芸の才能がありそうだなとつい思ってしまった。

 そう思えているのも、目を覚まして安心したからかもしれない。


「ナルが泣いていたから、容体が悪化したのかと思ったぞ」


「魔王様の顔色がどんどん良くなって嬉しくて泣いてしまいました…」


「ナルさんってば冷静に看病するのかと思ったら、ワタワタ慌ててたんですよ。 ナルさんって意外とアクシデントとかーー起きた時ポンコツなのかもしれないですね」


 アリサがクスッと笑いながら言った。

 確かに、ナルはなんでも冷静沈着に行動するタイプに見えるのだが、意外な一面を俺達は知った気がした。


「それで、魔王様に攻撃した者はどうしました?」


「逃げられたよ…。 あの手際の良さーー誰か裏で糸を引いてる気がする」


 俺は、矢を放った後に逃げた者は前々から準備されていた場所で逃げたような印象を受けた。

 もし、どこでもあの扉が出せるのであればマリアを捕らえるのだって容易なはずだ。

 前々から魔法陣か何かで矢で射抜くのは計算済みだったのだろう。


「先程は有り難うございました。 あなたのお陰で、この島が自分たちから戦争に関わるのを防げました」


 島長のウィンドはリーシャに深々と頭を下げた。 


「あなたが襲われたら、魔族と地上人の亀裂が深くなると思ってね。 つい体が出てしまったわ」


「俺の魔法陣のせいだ…。 すまない」


 俺は皆に頭を下げると


「何言ってるのよ。 あそこまで用意している連中が大人数で襲わなかったのは、きっとあなたの魔法陣で大人数をーー式典会場に送る予定だったであろう扉が、無効化…あるいわ消滅したからに違いないわ。 そのお陰で相手は小さな一人分の扉を作るのが精一杯だったのだと思う」


 リーシャはすごい早口で解説し始めた。


「確かに。 島の方々を守りながら大人数を相手にするのは難しいかもしれませんね」


「リーシャの射抜かれた矢ってまだ残ってる?」


 俺は医者に尋ねて矢を見せてもらった。


「この矢って…」



数ある小説の中でこの作品を読んでいただいたこと本当にありがとうございます。


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