011話 ◇◆複製◆◇
辺り一面に雷雲が出現した。
「え?まさか」
ビートは——おそるおそる俺から離れる。
「ビートもうちょっと離れろ。 加減がいまいちわからないから」
--ゴロゴロゴロゴロ ピシャーン
◻︎
——時は、少し遡り宿にて——
「クロさん、珍しいですね。 私にこんなに優しいなんて♪」
「でもアリサがお願いしたんだろ? 頭を撫で撫でして欲しいって」
「そうなんですけどね。 ダメ元でも頼んでみるべきですね。 本当にしてくれるとは、思いませんでした♪」
「アリサのスキルって極大魔法を扱えるのか?」
「そうですねー。 この前の小さい落雷ならどこでも落とせますけど。 この前よりも大きい雷を落とすならまずは雷雲を呼ぶことからですかね」
「なるほどな」
--なでなで
「 複製 発動 」
◻︎
「あの時、アリサからなでなでを——お願いされたのは好都合だったな」
アリサから複製したスキルにより雷の極大魔法を放ったクロ。
--プスプス
煙がある程度なくなると、俺は目を凝らして確認した。
ビートも確認しようと煙の方に近づく。
「うーん壊れてるみたいだけど、一応もう一発打っておくか」
「ちょっ、え?」
「ビート離れろ!!」
−–バリバリバリバリッ!!
「ぎゃああああああ。 そういうのは——先に言ってくださいクロ様ー!」
「やったか?」
「あれで無事なら何しても壊れないかもしれないですね…」
「さっきの魔法陣は残ってるな」
「魔法陣は発動したら終わるまで消えないですからね。 まだ発動はしてないみたいです」
「そういえば昔、魔法陣の本を読んだな」
「そうなんですか? クロ様」
「あぁ、魔法陣ってのは上から書き足したら違う効果で発動するんだ。 大量のHPを消費するのが難点だけどな」
「へぇ」
—カリッ
クロは自分の指を噛み血を出す——その上から文字を書き換える。
—スススス
「よし、これで完成だ」
「クロ様、大量のHPを消費するって言った割には、普通にピンピンしてるじゃないですか?」
「そりゃレベル100だからね」
「実際は減ってるって事ですね」
「まぁな。 これが発動すればこの首謀者どんな顔するだろうな」
「街の人達が心配だ。 急いで帰ろう——全速力で頼む」
「分かりました! クロ様」
◽︎
「おかしいわ。 何処かに隠れてる様子もないし」
アリサはシオンを睨みながら言う。
「さっきは、クロさんの前だから言わなかったけど。 あんた前からここに居たでしょ? この街の匂いが染み付いてるわよ」
「故郷だからね。 匂いもするさ」
「いや、クロさんは薄らだけどあんたは違う。 それに街からする住人達の匂いもするわ。 あんた本当は知ってるんでしょ?」
アリサは構えながらに言う——。
「ハハハッ。 冗談は辞めてくれよ。僕が嘘をついてる? そんな事をして何の得になるんだい?」
「……」
アリサはじっと構える。
「はぁ、めんどくせーな。 シオン君は今頃、この街の人達と一緒にスカイって島で囚われてるのさ。 ちなみに俺っちの名前はハオ——」
変化のスキルを解くと、そこにはシオンの面影は1ミリも無かった。
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