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106話 ◇◆黒霧綾瀬◆◇


「最初も何も俺はクロ・エンジュだろ?」


 この目の前にいる大聖母マリアは、さっきから何を言っているんだろう。


「君の最初の名前は黒霧(くろきり)絢瀬(あやせ)。 あやせって最初は女性かと思ったけどね」


 なぜだろう、俺はその名前を聞いたときーーまた少し懐かしさを感じた。


「私の姿は名前も見た目も変わってるから、初対面に感じるだろうしーーある程度思い出した時にまたこの話はしようか。 とりあえずは君の名前が思いだすきっかけ(トリガー)になってくれたら話しやすいんだけどね」


「黒霧…綾瀬。 俺はこの名前を初めて聞いたはずなのに、なぜか知っているんだ。 何なんだ一体…」


 彼女の言っていることは、本当なのか?

 俺の頭の中が混乱しそうになっていたところにーー


「さてさて、古い話はおしまい。 用件に入るんだけどいいかな?」


「あぁ、ごめん。 ちょっと話の整理ができなくて」


「そう思ってーー今回の昔の話はこれだけ。 クロ・エンジュくんとしての過去はわからないけど、それ以外なら私は何でも知っているよ」


 何だか彼女は、妙に引っかかる言い方をする。


「それで要件なんだけど。 ちょっと施設丸ごと一つ潰してくれないかな?」


「施設? 一体何の?」


「タリスカー本部」


 一瞬その場が固まった。

 2人しかこの場にいないのだから、本当は俺だけが固まったのだがーー先程までの気さくな話し方ではなく一気にピリついた彼女の態度に、俺は驚いたのだ。


「タリスカーって元々は君の部下達の施設では?」


「それもそうなんだけどね、ちょっと良くない流れになっていてね。 戦争を起こそうとしてるみたいなんだ」


「戦争? どことするんだ? タリスカーが動くって事は結構大きな戦争だろ?」


「魔族とじゃないかな」


「魔族全体と!?」


「多分そう」


 冗談じゃない。

 この前、堕天使を退けたのだって一歩間違えればこちら側が負けていたのに、それを今度が地上人が魔族全体に攻撃を仕掛けようとしているのだ。

 いくら何でもお互いに無傷じゃ済まない。

 むしろ地上界か魔界のどちらかが滅んでもおかしくはない。


「でも、そんな大規模な戦争の準備してる施設を俺たちで潰すのか?」


「うん、昔みたいにもう一度世界を救ってよ」


「俺は一度も救った事ないと思うけど…」


「ごめんごめん、まだそんなに大それた状態にはなってないんだ。 準備に手間取ってるみたいだから。 少しずつ準備していることを破綻させていけば成功するよ」

数ある小説の中からこの小説をお読み頂き、本当にありがとうございます!

良ければ、ブクマをしていただけると泣いて喜びます;;


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