104話 ◇◆入れ違い◆◇
「休憩するのに何で俺の血を吸う必要があるんだ!」
カーミラを必死に振り解こうとするがーー彼女は全然離れる様子はなく、血を吸いながらうっとりとした表情を浮かべている。
「うひ…うひひ」
「うわぁ…完全にキマってるわね、これ…」
魔王リーシャは呆れた顔で、その場を離れる。
他の皆も少し引き気味な様子で、リーシャの後に続いた。
「誰か、この状態なんとかしてくれ!!!」
ーーー
一方その頃「タリスカー本部」
「おい、そこの兵士よ。 準備はできたか?」
「シロ様、兵力の方はまだまだですが、武器の方はあと3ヶ月ほどで集まるかと。 魔族と戦争なんてして大丈夫なのですか?」
「所詮は魔族だ。 準備を万全にすればーー地上人の勝利は間違いないだろう」
製造されている途中の武器を触りながら、シロは兵士にそう告げた。
実際はシロにとって勝ち負けはどうでも良いのだ。
「もし勝てば、俺の手柄に出来るーー負けた場合は、悪いが大聖母マリアに濡れ衣を着せればいい」
シロは笑いを必死に堪えながら、心の中でそう呟いた。
「兵力と武器、その他もろもろ準備の目処が経てば、教えてくれ」
「かしこまりました、シロ様」
ーーー
「着きましたよ!クロさん」
ミーチェは、大きな白い建物を指さした。
正直、大きすぎて少し目眩がしそうなほどだ。
「ここが、大聖堂…」
「あら、ここに何か用なのかしら?」
目の前に、大きな槍を持った女性が立っていた。
おそらく、ここの護衛や門番をしているのだろう。
「申し遅れました。 私、カーミラと言います。 こちらに魔王アイム様がいらっしゃると思うのですがーーお迎えにあがりました。」
吸血鬼のカーミラは淡々と挨拶と要件を言った。
あまりここが好きではないらしいーーあからさまに早くこの場を離れたい様子だ。
「カーミラどうしたの?」
「多分この建物の中に私の苦手な物がありそうな気がして…」
「あぁ、十字架か。 マリアさんに挨拶でもしてみたいと思っていたが、カーミラの事を考えるか」
槍を持った女性がため息をついた。
「魔王アイム様ならーーちょうど先程出ていかれましたよ。 ちょうど入れ違いになったみたいですね」
数ある小説の中でこの作品を読んでいただいたこと本当にありがとうございます。
リアルが忙しくなかなか更新できませんでしたが、(10ヶ月程)感想いただいたり、待ってるお言葉をTwitterなどでいただいたり本当に嬉しくて泣きそうになりました。
本当に有難う御座います。
今後も時間を見つけては投稿していきたいと思います。
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