102話 ◇◆魔族と地上人◆◇
——教会大聖堂——
「なるほど……魔王の方々が出席する”魔王会議”に私も出席して欲しいと言う事ですか」
「うむ。 我々魔王達は魔界が今後どうすれば繁栄するのか話し合いをしてきた。 私はこのままだと魔界と地上人による戦争が起きると思っている。 今回の会議は友人に頼み戦争が起きないように手回しはしたのだが……」
俺達が魔王会議に出席している中、魔王アイムは大聖母マリアとの交渉に来ていた。
「いずれは戦争が起きると……」
「今回は堕天使の進攻を地上人が防いだのは知っているかと思うが——もしそのまま進攻を許していたらこの辺り一帯は血の海になっていたでしょう」
「アイム様……お話は重々承知しております。 ですが、私が魔王会議に出席すれば、それこそ大問題になるのではないですか?」
「最初は他の魔王達も戸惑う事でしょう。 もちろんマリア殿も危険にさらされる可能性もある。 だが、ここで魔族と地上人が手を取り合うようになれば、無駄な血をこれ以上流さずににすむのではないだろうか?」
魔王アイムは真剣な顔でマリアに説得をする。
「引き受けたいのは山々なのですが……こちらも少々揉めてましてね」
教会内での【穏健派】ニッカと【過激派】タリスカーによる派閥争いは日を追う事に激化していた。
タリスカーのトップがシロに変わった後ニッカのトップも急な病死により変わったのだ。
その事もあり教会内での統治が取れていないのである。
「なるほど……。 教会内部での内戦が起きているのか」
「そうなのです。 本当に申し訳ございません」
マリアは魔王アイムに頭を下げた。
「ふむ。 ですがこちらとの話し合いでの内容が成就し魔族との貿易など出来るようになれば経済も潤い、内戦も落ち着くのではないかな?」
「魔族と地上人の貿易ですか!?」
マリアはアイムの予想外の提案に衝撃を受けた。
「そう。 私は、はたして魔族と地上人で——貿易が出来るないかとずっと考えていた。 時にはそちらの勇者に剣を与え、地上人がどのような反応をするか見てきた。 その経験を元に私は断言する。 我々、魔族と地上人はお互いに命を脅かさない信頼が出来れば必ず出来る」
「信頼……」
「すまない。 つい話が長くなってしまった……。 明後日までこの街に滞在する予定だ。 今後の方針だけでも決めて私に教えて欲しい」
「分かりました。 考えがまとまりましたらお伝えしたいと思います」
大聖母マリアはそう言うと黙って魔王アイムが教会を離れるのを見送った。
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