001話 ◇◆いらない運び屋◆◇
「うすうす気づいてると思うがクロ、君をパーティーから追放させてもらう」
「……」
そりゃそうだ、今日のクエストも俺以外の他のメンバーが戦っていた。
にも関わらず、俺はそこらへんに落ちている物資を拾うだけ。
剣士アーサー、術師マヤ、ガードディヴァイン、弓使いカレン——皆命がけで戦っている。
最後に4人が命がけで戦って倒した相手の首を、運び屋である俺 クロ・エンジュの収納能力で持って帰る。
そこに皆は不満なのだ。
戦果として受付に首を差し出す時
「なぜ戦っていないやつが戦果をあげたみたいになっているんだ」
そう聞こえてくる——。
俺だってそう思う。
だけど俺のスキルはこれしかない。
しかも便利なスキルだなって誘ってきたのはお前らの方だろ。
「くそっ……」
「あんた、戦わないくせに無駄に敵を引きつけるのほんと迷惑。あんたが逃げ回るせいで敵がどんどん移動するもの」
「俺だって好きで逃げてるわけじゃない。 なぜ敵が俺を狙ってくるのかもわからない」
カレンが睨みつけながら言ってくる。
カレンは幼馴染で小さい頃に、裸でお風呂に一緒に入ったこともある妹のような子だった。
確かに弓使いにとって敵が動き回るのはストレスになるだろう。
「まぁお前が敵を引きつけてる間、俺は何もしなくてもいいがなっ!」
皮肉まじりにディヴァインが笑う。
「……」
ほんとは今にでも殴りかかろうと思った。
「んだよ!? その顔はよぉ?」
ディヴァインが睨みつけてくる。
「∵∋∂≦∮・・・」
マヤが裏で何かを詠唱し始めた。
「これ以上喧嘩するなら、私が魔法を放ちます」
「おい、バカやめろ! 冗談だぜ!! こいつがいなくなれば喧嘩する事もないんだよ!!」
何のあてもないが、ここまで嫌われているパーティーにいるのはうんざりだ。
「同感だ。 こんなとこさっさと出て行ってやるよ」
「……はぁ」
アーサー達のパーティーから追放された俺は、あてもなく1人で歩いていた。
とりあえず収納スキルを少しでも強くしておくか……
レベル確認っと……
運び屋 Lv40
名前 クロ・エンジュ
年齢 20歳
性別 男
種族 ヒューマン
スキル
収納能力【Lv10】
敵引きつけ能力【Lv4】
???【Lv10】
「なんだこの???ってスキル。 今までなかったと思うが。 それにレベルがかなり上がっている。 いつの間にあがったんだ?」
『運び屋のLvが上限になっています。 収納スキルが強化できます』
「そうかパーティーを外される前に最後に倒したモンスターでレベル上限になっていたんだな」
正直レベルが上限に達したところで戦いに参加できそうもないし。
そんなに喜べないけど。
「まぁ何もしないよりはいいか。 収納スキル強化っと」
『収納スキルが強化されました。 運び屋で扱えるスキルではない為職を運び屋からテイマーに進化します。 それに伴いステータスが更新されますが、テイマーでも収納スキルを扱う事が出来ます』
「え? テイマー??」
テイマーってモンスターを従えるあの?
『なお収納能力により経験値が収納されています。 その分の経験値を新職に振りますか?』
「経験値が溜まっていた?? 何を言っているんだ??」
いまいちピンときていない俺は
「まぁ。 振って困ることはないだろ。 あるなら頼むよ」
□
『おめでとうございますテイマーのLvが上限になりました。 上位職ですのでLv100が上限になっています』
数ある小説の中でこの作品を読んでいただいたこと本当にありがとうございます。
リアルが忙しくなかなか更新できませんでしたが、感想いただいたり、待ってるお言葉をTwitterなどでいただいたり本当に嬉しくて泣きそうになりました。
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