一月・1
「わーん、トーちゃん死なないでー!」
……耳元が騒がしい。
「取り敢えず、静かにしていてくれると、助かるんだが」
「でもでもー! 四十度は流石にマズイよー!」
そうなのだ。香港A型だかなんだか知らんが、……いやこの高熱と悪寒と鼻汁具合は、多分A型で確定だ。
昨日の夜からなんだか寒気がするなーとは思っていたが、朝になってみると体の節々が痛い、喉がかすれて声が出にくい、と言うか動けない、要するにベッドから起き上がれないのだった。
そして今日は元旦。
本当は毎年行っている福島への帰省は、自分は受験勉強があるからと遠慮した所だった。
当然家族は一人もおらず、……そんな時に「あーそーぼ!」とやって来たのが玲華とミキちゃん。玄関は開いているのに返事のない家を不思議に思い、真っ先に上がり込んだのがミキちゃんで。
オレの惨状を見たミキちゃんが、大慌てで玲華を呼んだ結果が、現在の状況である。
そして玲華が耳元で大泣きしている。
「トーちゃんどうしよー!」
ちなみに、感染すると超絶ヤバい小児のミキちゃんは、速効で帰宅させてある。
「うーん、取り敢えず解熱剤が欲しいな。下の部屋のステレオは分かるか?」
「うん」
「その上に棚があるんだが、そこに飲み薬のセットが、箱に入っておいてあるんで、それ丸ごと持ってきてくんない?」
「合点承知の助!」
ドバタタタタタ!
勢いよく階段を駆け下りていく様だが、転んだりするなよ? ケガ人が増えたら、目も当てられないからな。
と、そこへ。
ジリリリリリリーン♪
階下の黒電話が鳴る音がした。うおお、誰かは知らんが、これは流石に玲華にゃ頼めないな。なんとか這いずってでも……。
「あっ、もしもし、初川です!」
時、既におすし。
「あ、ぐっちー? どもども。それでトーちゃんになんのご用?」
げ。玲華お前、余計な事は言うなよ? 絶対に言うなよ?
その後しばらく談笑していた玲華と山口だが……。
薬箱を手にした玲華が部屋に入って開口一番。
「なんかぐっちーこっちに来るってー」
「ああっ、女神様!」
気のせいか、やや悪化した体調を自覚しつつ、突っ込まずにはいられないオレであった。
リアルで40℃の熱発してます。とてもツライ……('A`)。




