八月・番外編(11)
2月にまたもや転職しました。
今後はもう少し更新頻度を上げないとですね……。
さすがに打ち上げ花火は無かったものの、地面に立てて盛大に火柱が上がる系のは楽しかった。
昔カミさんと船橋辺りにできあがりつつあった海浜公園で、二人きりの花火大会をしたことがあったな。
あの時はバケツが用意できなかったので、自販機で買ったジュースのペットボトルを二本用意。
一つは持っていたビクトリノックスの小型ナイフで上部を輪切りにしてバケツ代わりに。
もう一本はトイレの水道から水を注ぎ、万が一のために準備したっけか。
そう言えば、とにかくカミさんの喜ぶ顔が見たくて、自分が楽しむということを忘れていた気もする。
そんな記憶がよぎりはしたが、最近どうにもそういった「過去の思い出」が、ただの夢みたいな気がしてくるんだよなぁ。肉体もろとも若返ったせいか?
オオトモ様は「精神が肉体に引っ張られている」と言っていたが、確かにそうなのかもな。じきに過去の記憶はすべて、それこそ「ぼくの考えた未来の自分」なんて、三文小説にしか思えなくなる日が来るのかもしれない。
そのとき自分は、さてどうするのだろうか。
決して戻れない過去をただの「IF」として捉え、すっかり忘れて前向きになるのか。
それとも確かにあったはずの自身の歴史の喪失を、滂沱の涙と共にかき集めるのか。
(度々じゃが、余計なお世話じゃたかのぅ……)
あれ、オオトモ様がなんだか申し訳なさそうに話しかけてきたぞ?
(それさっきも言いましたよね、「死ぬよりはマシ」って)
(それはそうなんじゃが)
(というかこれは飽くまで、そしてどこまでも自分の問題なので、オオトモ様に何かご負担をかける方が、そもそもおかしいって話です)
(うーむむむ)
この一見「のじゃロリ」っぽい神様は、生来お優しい性格だったのだろう。
あの殺伐とした時代の中、暗殺されかかったにも関わらず、これほどまでに庶民と言うか自分の配下の者を思う気持ちは、後付けされたものでは無いと思う。
だからこそ思い悩んでしまうのだろう。
(だーかーらー、困ったことがあればコッチからご相談に伺いますってば)
(そうじゃの、まぁお主がそれで良いなら)
(全然オッケーですよ、オオトモ様)
現人神さまは気苦労が絶えないね。
同い年の女子そっちのけで感慨に耽っていた自分も、そろそろ現実に戻ったり立ち向かったりしなきゃだな。
きゃあきゃあと騒ぐ可愛い女子達を横目に見ながら。
自分は今夜のこの光景を死ぬまで忘れないだろうと、ふと思った。




