表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
バレンタイン×バタフライ  作者: 新田猫レ
3/67

人生終了のお知らせ

 あーあったあった、そんな思い出が確かにあったわ。というかすっかり記憶から抜け落ちてたわ。


 あれからしばらく謎の送り主に思いを巡らせてみたけど、元来ミステリー小説よりSFジュブナイルが好きだった自分には、金田一先生のような名推理はついぞ出てきやしなかった。

 うん、「少し不思議」で終わっちゃってた、SFだけに。


 所が山口女史曰く、「なんでそれでわからないのかなぁ」なのである。


「じゃあヒントね」


 彼女は人差し指を立てて口を開く。


「うちらの中学校って、放課後まで駐輪場には立ち入り禁止だったじゃない?」


 うん、そうだった。

 バレンタインの頃には受験もあって、もう学校にも来ていなかったけど。いわゆる「不良」の先輩たちが、自転車によくイタズラをしていたからだ。

 空気を抜かれるならまだマシな方で、中には虫ゴム自体を取られたり、ハンドルの向きが曲げられていたり、果ては本体がそっくり逆さまにされていたりしたのである。

 バカの考えることはよく分からん。


「……え?」

「ん?」

「いやその、それがヒント?」

「そうだけど」

「えーと……」

「ウソでしょ、やだー、なんでこれで分からないかなぁ」


 いや、分からんもんは分からんし。


「もうちょっと何か」

「ダメ、後は自分で考えなよ」

「少なくとも女子ではあるんだよね?」


 ウホッだったら泣く自信ある。


「流石にそれは……っふふふふっ。……はぁ、当たり前だけど女性だよ」


 ひとしきり笑われた後、何故だか哀れみの視線で見られた。解せぬ。

 と、ふと腕時計を見て慌てて立ち上がる。


「昼休憩が終わっちゃうんだよ、名残惜しいけど」

「そうなんだ、なかなか会う機会も無いけど、じゃあ次に会えた時それでも推理できてなかったら」

「その時はキッチリ教えて欲しいね、それじゃ」

「うん」


 遠慮していた彼女だったが、無理やりお会計を二人分済ませて店を出る。まぁ情報料代わりだ。

 そういやアドレス交換もしなかったけど、どうせまたあの店に行けば会えるだろう。昭和生まれは肝心なときに便利ガジェットの存在を忘れるのだ。

 というか、この年になっても男性から女性に「アドレスを教えて欲しい」というのは、なんとなく憚られる行為に該当するのだ。若い子にゃ理解しがたい感覚だろうけど。


 店に隣接している駐車場に向かうため一旦道路に出た瞬間、目に飛び込んできたその光景。


 それはセンターラインを割った対向車を避けるため、自分の方へハンドルを大きく切り、突進してきた大型トラックだった。

次からいよいよ本編です、長々とすいません。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ