表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
バレンタイン×バタフライ  作者: 新田猫レ
27/71

八月・番外編(5)

 海に到着した時間が昼直前だったこともあり、ちょうど昼ご飯の時間になった。

 一旦引き返して全員分のメニューを聞き取ってメモを書き、チャラそうなバイト氏にそれを渡した。するとこのチャラ男、オレを下から上まで見てからこう言った。


「よぉあんちゃん、あそこにいるの全員おめーの妹なのか?」


 やっぱりか。つかお前、チャラいのは性格だろうけどその体型と茶髪はないわ。

 日焼けで色のあせたカカシみてーな印象だぞ?


「いや、とある格闘家の娘さん達です」

「あちゃー、可愛い子が沢山いるから紹介してもらおうかと思ったのによー」

「怒り狂った父親に向かって、同じ事が言える度胸があるならどうぞどうぞ」

「うへ、おっかねぇ。潔く諦めるとするよ」


 ふと、気になったので話を続けてみた。


「ちなみにどの子が一番可愛く見えます?」

「あの小さい方から二番目の子だな」


 こ の ロ リ コ ン め !


「流石に小学生はマズイでしょ」


 スマン青野、こういう設定じゃないと悪い虫が付きそうだから、今だけ身分を偽らせてくれ。


「いや、なんつーか妹にしたいと言うか、庇護欲をそそられるっつーか」


 おや、割と勉強は出来そうだぞこのチャラ男。


「気持ちは分かりますけど、止めた方がいいですよ」

「そーするわー」


 じゃ、と軽く挨拶をして、オレはみんなの待つテーブルに戻ってきた。


「初川、あの店員さんと何を話してたの?」


 松元が目敏く声をかけてくる。


「一人紹介しろと言われた」

「「えっ」」

「でもキッチリ断った」

「「ホッ」」


 キミタチ、息ピッタリだな。


「誰が目当てとか言ってた?」


 いや、なんで食いつくんだよ山口。ひょっとしてああいったタイプのチャラ男と、ひと夏のアヴァンチュールでもしてみたいのか。


「いや、ただのロリコンだった」

「え」

「青野が好みらしいぞ」

「どーゆー意味よアンタ」


 待て待て、色々と言いたいことはあるだろうが、そこはガマンしててくれ。

 だって中学生だってバレたら、声かけに来ちゃうかも知れないだろ。頼むからその握ったり開いたりしている手を引っ込めろ。いやマジでスンマセン。


「あのな? オレはこの旅行、みんなを危険な目に遭わせず、ちゃんとご両親の元へ返すという役割があるんだよ。そこは分かってくれるよな?」

「う、うん、まぁ」

「ああいう手合いは、最初に決めたターゲットが無理だと分かったら、さっさと次に目移りする生き物なんだよ。捕食者からの興味を最小限に減らす、これは生物としての正しい行動だとオレは考える」

「まぁ、言われてみれば」

「それに自信を持て青野。お前は客観的に見て可愛いってことが、他者から証明されたという意味でもある」

「ふえっ!?」


 特殊性癖の持ち主からすれば、という条件付きだが。

 すると松元と山口、二人が顔を見合わせた。


「あー、これは」

「青ちゃんに一点追加だねー」


 ん? 何ソレ? そう言えば松元も、さっき点数が云々とか言ってなかったか?


「なぁ、一体その点数って……」

「ハイお待ちどう、少年!」


 そこへ先ほどのチャラ男が、人数分のかき氷を持ってやって来た。


「先に水分補給しとけよー? 海に来るとはしゃぎまわって、結構倒れる人が多いんだ」

「あ、そうですね、熱中症も怖いですし」

「んあ? ネッチューショー?」


 あ、いけね。この時代はまだ熱中症という病名は一般的じゃ無かったっけ。

 いや、単語としては確か明治時代からあったと思ったが、あれは屋内作業の炭鉱労働者等に多く、日の当たる場所では「日射病」と呼ぶのが普通なんだった。


「ああいや、日射病ですよね、何言ってるんだろオレ」

「ボクのセンセイはーってか、ははは」


『熱中時代』がオンエアされていた時代であった。


「あはは、そうですね、勘違いしてました」

「まーこんだけ可愛い子達に囲まれてたら、そら熱中症? にもなるってもんだ。じゃっ、頼まれてた焼きそばとラーメン、もう少ししたら出来上がっから」


 そう言うと手のひらをヒラヒラさせ、チャラ男氏は去って行った。

 いや、名残惜しそうに青野をチラチラ見ていたのは分かったが、さっき予防線を張ったこともあってか、素直に諦めてくれたようだ。


「なんか、悪い人じゃなさそうだね」

「んー、それには同意する」


 これで特殊性癖でなければ。あと全体の配色が間違っていなければ、な。


「さてと、じゃあ食べるか。いただきます」


 いっただきまーす! と全員で唱和し、食べ始めて数分後。


 ……お約束ではあるが、全員でコメカミを抑えて頭痛にもだえるハメになった。

 うむ、早くラーメンが来て欲しい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ