第2章 仕事に全力出す騎士のプライベートは、肉食系であることが多い②
明日は約束のデートである。そうだね、いつもの脳内KYMである。
前回のKYMに関しては、非日常という劇物を除けば当たらずも遠からずという結果であったと思う。
筋肉ゴブリンのユニークさに欠けたジョークに対しても余裕をもって答えられた点に関しては、自身を褒め讃えた。相手からも対等な存在として関係を築けたと信じたい。
その点、今回のKYMはそこまで気を付ける状況ではないと考えている。
メリアさんが働く牧場で、乗馬を教えてもらう。実に有意義なデートではないか。
現状、メリアさんが非常に硬い性格である点と、私自身本当は乗馬の経験があるという点だ。
友人間の深い信頼関係構築を犠牲にして様々な趣味を探し続けた為、乗馬も行っていたのである。
一つ言えることは、1人で経験を得るために行動し続けたり、知識を蓄えたところで8割方使い道はなく、無駄な知識や経験量が仇となって皮肉屋になってしまう可能性が大である。そう、それが私だ。
・・・話がそれてしまったが、基本的には言葉遣いに注意する点、乗馬が行えることに関しては事前にネットで調べたということにしておこうと思う。
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「貴様、所属を言えないのであれば賊として処分させて頂く。」
・・・あれ、西洋鎧を着た屈強な方々が俺を拘束しているわけは何なんだ。牧場とメリアさんは何処へ?
「そもそも貴様が乗って来たその乗り物は何なのだ、鉄の箱が動くのは魔力か何かなのか?」
これは前回のも含めて察してきたが、もしかしたら異世界に移動しているな??いや、しかしゴーフル
さんが車に関して疑問を示していなかったことを考えると複数のパターンがあるのだろうか。
「まぁ、そのようなものでしょうか。もしお時間がありましたらご一緒にお話させて頂きましょう。
一つお教えいただきたいのですが、メリア殿という方はいらっしゃいますでしょうか。元々はメリア殿との約束でこの地に参った次第でございます。」
「ふむ、では合わせてメリア隊長に確認していただこう。アリィ、隊長を呼んできてもらえるか。」
「承知しました。」
ふむ、フルフェイス特有のくぐもった声のせいでそうは見えなかったが、子供か女性なのだろうか。
とりあえず拘束されている以上、無闇な会話は行わないほうが良さそうだろう。
しばらく待っていると鎧姿のメリアさんが現れた。