第1章 実際に出会ったらゴブリンだったとか笑い話であるけど、本人はつらいと思う
「さて、まずは必要事項を載せるのか。」
出会い系アプリでは自身の住んでいるところ、ニックネーム、自分が写っている写真、趣味、自己紹介文を載せるのが必須項目であったので入力していく。
「顔はまぁ、中の中ぐらいだから諦めるとして、自己紹介文はしっかりしないとな!」
自己紹介文は女性方が第一に確認する項目である。
ここをおざなりにしてしまったら、もう誰も気に留めてくれないかもしれない。私にはもう後がないのである。
一語一語に魂を込め、以下の文をしたためた。
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うら若き乙女の皆々様、そう、今この文をご覧いただいている貴方様です。
このような駄文をご覧いただき、感謝の至りであります。
私は貴方様との運命を共に歩むため、そう、命を賭してでも離れぬ所存でございます。
ここでお会いしたのも何かの縁、是非ともご連絡をいただきたく存じます。
貴方様の魔力が私などを見出したのですから、私からも何かできる事が有る筈です・・・
by.貴方様の仔羊、坂本
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っふ・・・決まったな。
アラサーとしての風格が乗り移ったかのような文であると思う。これで30才までには女友達くらいは出来ているはずだ・・・!!
あれから数日が経過したが、誰一人として連絡がこない・・・
やはり、壁地市とかいうほぼ僻地だから誰もいないんじゃないか?俺の趣味の部分にはおびただしい数の趣味を記入しているし、実際に特技も腐るほど習得した。学生時代も友達付き合い以外はすべて成功しているはずなのになぜこんなことになってしまっているのか・・・
さらに1週間が経過し、もうこんなクソアプリ消してやると思っていた矢先、1件のメッセージが飛んできた。
新着:1件
ニックネーム:ゴーフル
内容:初めましてっ(*^_^*)
おんなじ壁地市でこのアプリやってる方がいるなんて驚きですっo(*^▽^*)o
あとすっごい面白い紹介文で笑わせてもらいました(笑)
もし良かったらお話ししましょう~(๑•᎑•๑)
キタコレ。