第2章 仕事に全力出す騎士のプライベートは、肉食系であることが多い⑧
とりあえず帰れそうだな。無事車までたどり着いたし、きっとこのまま車を元来た道へ進めば帰れるはず。
そう考えてエンジンをかけたところ、後ろからメリアさんが追いかけてきていた。
「まて、坂本殿!!こちらに戻ってきてくれ!まずは話をしようではないかっ!」
そう言っている本人が、私を1週間軟禁してるんですがそれは。ですが美女に追われるのはやぶさかでないのできちんと待ちますがけど。
「坂本殿、これまで強引な手で引き留めてしまい、誠に申し訳なかった。しかしそれには理由があったのだ。
坂本殿の教養と行動力、そしてその存在価値はこの国では計り知れないのだ。どうにかしてこの国へとどまっては頂けないだろうか。私にできる事が有ればどんなことでもさせて頂く。」
そうだったのか。俺の存在がそこまでの価値があったとは。
ま、理由はそれだけでないことはザキさんや魔族の行商から聞いているので意地悪だけはしておこう。
「そうですか、そこまで私を重用して頂いてたとは感謝しかありません。が、国益のためだけに私を軟禁する権利があるような国家に私は付き従うことはできません。私はあくまで、自身の主義主張を他者に強制されない社会に属する人間ですので。
メリアさん自身に止められているなら別だったのですが。」
そう話すとメリアさんがフリーズしていた。
「わかった、参った。本音で話させて頂こう。私は私個人が坂本殿にいてほしいと思っている。やっと出会えた異性を離す訳にはいかないのだ。この世界で20を超えて伴侶がいないのは恥と言われている。周りがみな結婚していく中、私だけが独り身であった。実家に帰ると両親からお前はまだかと言われ、夜になると一人を感じて寂しいのだ。今回接収した手帳に坂本殿が出てきて思わず手が震えたよ。実際にあってみて確信した。もう私の王子様なんだと。この王子を手放すわけにはいかないと。」
カタカタと震えながらメリアさんが訴えてた。
人生生き急いでいる人は、行動が突拍子もないことになるんだろうな。
「メリアさん、落ち着いて下さい。私が元の世界に戻っても、連絡は取れますしまた必ず戻ってきますよ。」
できるだけ優しく、ゆっくりメリアさんに伝えた。
「本当か?本当に戻ってきてくれるのか。私に引かれて逃げてしまうんではないか?」
正直逃げたいが、別に悪い人ではないし、一途(必死)になっているのはよく分る。
「とりあえずいったん家に戻ったら必ず連絡しますから。せっかくですから次はこの世界を案内していただけると嬉しいです。」
「あぁ、あぁ!勿論だ!その際はザーキンも連れて参ろう。」
ザキさんか、ザキさんはきっと今も何かに一生懸命取り組んでいるんだろうなぁ・・・いつか向上心に実力が伴うことを祈ろう・・・
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とりあえず元居た道を通って無事に家にはたどり着いた。まさか壁地市は異世界に繋がっているとは思わなかったが、非常に面白い出来事ではあった。
そして1週間軟禁されていたはずなのに、現実世界では入った時と変わっていないことが分かった。これは色々と悪用できそうだが、とりあえずは久しぶりに一人で寝ることにしよう。
そういった描写は書ける文才がないので省略してますが、夜はそういうことです。まぁ、飢えたオークみたいな女性って現実にもいるよ!ホントだよ!