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ウイリアム・バークの血筋

しばらく話を続けレクラム国の風土について語り終えたときもう話すことはないとヘンは言った。

僕はそうかといい2枚の銀貨を彼に渡す。

銀貨三枚――平民がひと月に使う金が銀貨1枚ほどなのだから情報の価値とはそれより高い。

ヘンの方も文句はないようでそのまま銀貨を懐にしまう。


「じゃあ帰るよ。」


 それだけ告げてテントを出る。

見送りはなかった、しばらくして振り返ると“休憩中”の看板が出たままだった。

今日はずっとあの看板が出たままだろうな。



 太陽がそろそろ1日の仕事を終えるかという時間、僕は今日3度目の帰宅を果たした。

 外よりも暗い室内にランプを灯していく、夕食にするにはいい時間だが疲れからか食欲がわかずキッチンは点けない。

 すぐさま二階の自室に――廊下の道くらい暗くてもわかる――に駆け込んだ。

 その勢いでベットに倒れ込む。


 今日は疲れた。 

 

 普段ならもう少し暗くなり皆が寝静まるころが僕の死体盗掘人としての仕事時間だが、その気力もなかった。

 いろいろはない、たった1つの事が僕をここまで疲れさせた。たった1つの封筒が届いたせいで。

 それが嫌なこととは言わないが、大変なことなのは確かで頭の中ではどうするかがぐるぐると巡っている。

 

このまま寝てしまおうか


どうせ明日の朝すぐレクラム国へ発つというわけではないのだ。

それに戦争している国に入国するのだ、厳しい検査もされるだろうから持っていくものにも工夫・準備が必要だろう。

 それにその戦争にだって怪しいことがある。

手紙には勝負の決着がつくところまできていると確かに書いてあった、だが実際には拮抗状態らしい。

情報屋から得た情報だ、正しいのは後者だろう。


では何故クラ・レクラム・ガーネットはそう書いたのか。


僕に同情心を持たせるため?

それともレクラム国民あるいは彼女と娘しか知らない事情があるのだろうか。


……もう寝よう。

考えるにしても疲れ頭では何も思い浮かばないだろうし。

僕は目を閉じ、不安を追い出すように眠った。




「……痛い。」


最悪な目覚めだ。

寝巻に着替えないでそのまま寝てしまったのは明らかに失敗だった、おかげで体が痛い。

 ううん、と伸びをすると背骨がポキポキと音を立てた。

 まだ少し眠いが意識は徐々に覚醒していき、脳が熱を持つ感覚が強くなっていく。

 下に投げられた靴を履きベットから降りる。

 

 キッチンに向かい、レモン果汁を入れた容器に手を伸ばし、グラスを出していないことに気づいた。

 ついでに、炭酸水と蜂蜜も出す。

 グラスに順番に入れ蜂蜜がしっかり溶けるようにかき回せば、レモンスカッシュという飲み物が出来上がり、眠気覚ましに一口飲んだ。

 口の中でシュウウウウウといった感触が心地よくはじける。

 

 レモンスカッシュというのは僕の一族に伝わる飲み物でほかの人間は知らない。

 なんでも異世界の人間が作り出した飲み物らしく外の世界ではジュースとして飲まれているらしい。


何故それを僕の一族が知るのか。

 

それは僕の一族の始祖がその異世界人だからだ。


一族の始祖は地球という世界のイギリスという国からそうで、その世界には驚くことに魔法がないらしい。


僕の一族に魔法を使えないものが度々生まれるのはその始祖の血が受け継がれているからではないだろうか?


そして僕たちに魔法が使えるものが生まれるのは……。


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