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母の友人

ハル・レクラム・ガーネットと名乗るとその子はまた黙ってしまったので、クラ王妃が補足をしてくれた。

 

「私の子よ」


「なるほど、では王女様とおよびした方がよろしいですね」


 視線を王女に向けるが目の位置まで被ったフードのせいでどこを向いているか分からなかった。

 噂と僕の推測が正しければこの子が異端の子と呼ばれる先祖返りしたエルフなのだろう。

 フードを被っているのはそういうことなのだと思う。

 人差し指の指輪を撫で上げる、よかった、色は変わっていない。


「そう、警戒せずとも結構よ。

 危害を加えるつもりもないしこの子はそんなことしないわ」


「……失礼しました」


 この指輪の事を知ってるのか。

 指輪は母様からもらったものだ、母様も昔つけていたようだし友人だったなら知っていてもおかしくはないが指輪の意味まで知っているとは驚いた。

 

「よくご存じなのですね」


 指輪のことも一族の秘密の事も。


「あなたのお母様から教えてもらったのよ」


「失礼ですが、私の母が一族以外にそんなことを教えるとは思えません」


 目はまた王女に向かう。

 僕を呼んだ理由は彼女の先祖返りが関係してるはずだ、一族が秘密にしてきたエルフの事を知っているから僕を呼んだんだ。

 

 クラ王妃は僕の目線名先を辿り僕の言っている意味を理解したみたいで少し瞼が上がった。

 

「そう、分かっているのね。

ハル、フードをとりなさい」


「……はい」


 王女はゆっくりとフードをとった。

 黒い髪に日にあたったことがないような白い肌、尖った長い耳があらわになる。

 伝承に伝わるエルフの特徴だった。

 王女はいたたまれないように俯いている。

 

「見ての通り、ハルはエルフよ。

だから


「失礼、ハル王女。

フードはもう被っていただいて大丈夫です」


 僕の言葉を聞くや王女はフードをとる時とは対照的に素早く被った

 

「優しいのね」


「いえ、お話を遮ってしまい申し訳ありません。

どうぞ続きを」


「ええ、見ての通りハルはエルフなの。

だからあなたの家に助けてもらえないかと思って」


「なぜ、なぜ我が家の秘密を知っているのですか」


 これを聞きに僕はこの国に来たといってもいい。

 人差し指の指輪を見えるように撫で上げる。

 話してもらうぞ、クラ・レクラム・ガーネット。

  

 しかし、クラ王妃はなんてことないように答えた。

「だから言ったでしょう、あなたのお母様に教えてもらったの」


どうして、という言葉が出る前に王妃は、


「どうしてあなたのお母様が教えてくれたのかは私の秘密も言わなければ理解できないでしょうね」


「それは…教えていただきたいですね」


 分かっているじゃないか。


「そうね、まずそこのハルだけど」


 クラ王妃が視線を隣に向ける、当然そこにはハル王女がいる。


「あなたの妹よ」


「ええと、それはどういった意味でしょう」


 たしか自己紹介の時もハル王女は僕をお兄様と呼んだが、もしかして


「正確にはあなたと同じ血が半分流れているの」


 もしかして、

 僕の一族でたまに起こる先祖返りがハル王女に起こったのは僕の一族の血を引いているから?

 もしかして、

母が一族の事を話したのはハル王女が一族の血を引くから?


 でも、なぜ?

 なぜハル・レクラム・ガーネットが母の血を持っているんだ?


「私が頼んだのよ」


「当時の私がこの地位に就くためにね」


「おっしゃっていることが良く分からないのですが?」


 なぜハル王女が母の血を持っていることと王妃の地位が繋がるんだ?


「当時の王は子供がある者を寵愛したの、だから魔法で作ってもらったのよ。

この子をね」


 ハル王女を作る? 僕の母が?


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