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対面

検問を無事に終えてやっと街中に入ることができた。

僕は戦時中の国に滞在したことがないからはっきりそうとは言えないけど、本当に今この国は戦争をしているのだろうかという感じだ。


もっと暗い雰囲気をしてるものだと思ったけど、想像以上に普通だな。

途中に通ったライム国と同じくらいの活気。

あたりまえに店は営業しているし、道は仕事終わりの人間の帰路になっている。

奇妙な感覚だ。

台風が目前まで来ているのにそれが何を起こすか分からずにいる豚、それを目にしてるような、見ている側が不安になる不気味さを感じる。


実際に僕は戦争という台風から二人の王妃と王女を救いに来たわけだし。


早く王妃と王女に会いたい。

まだ城は開かれているだろうか?

 日はとっくに傾いていてほんの少し太陽を押し込めば日没だ、遅すぎるということもないだろうけど、断られてもおかしくはない時間帯。

 それに移動の時間も考慮しなくてはならない。

 幸いお城は町のどこにいても見えるほどの大きさなので道に迷うということはなさそうだ、城を中心に町が広がっているため中を歩けばそのまま着くだろう。


 途中で衛兵に呼び止められ、内心イラつきながら最初の検問でもらった通行証を見せ、衛兵の協力感謝の言葉を背中で聞いた、四回も。

 呼び止められうる度歩くペースを上げていき最後には走っているような状態で城に到着した。

 走ったおかげか、城が閉じられる前に門番のとこに辿り着いた。

 名前を言い、通してもらえる事情を話そうとする前に入場の許可が下りた。 

 なぜかと理由を聞くとクラ王妃から友人として僕の名前が出たら通すように伝達がなされていたらしい。

 余計なことを口走る前でよかったが、僕はもう自分の痕跡を消すということについては諦めなくてはいけなくなってしまった。

 

 僕が来たことはすぐに王妃に伝えられ、すぐに彼女のもとへ案内された

 そのため城の内装を詳しく見ることはできなかったが、城内は白を基調としたデザインがなされているのは見て取れた。

これはだいたいの城では基本で城と白で掛けることにより魔術的な意味を作っている。

意味は相互補完のようなものらしい、所詮はおまじないのようなものだが。


そんな白い廊下を案内してくれた侍女がある部屋の前で立ち止まり、その扉を三回ノックした。


「入りなさい」


中から平坦な声が届くと侍女は頭を下げながら扉を片方引き僕にお入り下さいと言うので、その空いた扉から部屋に入った。


その部屋は黄色とも金とも言える色で作れた部屋だった。

そして赤色が一つもない、このことからここは客間なのだと分かった。

黄は貴を表し、高貴をこの部屋に訪れる者に主張する。

赤は数多くの表す意味を持つ中に悪化があり客間には避けられる。


「よく来てくれたわね、バーク」


ソファーに座る客間の主――そのソファーには二人の人間が座っていて僕よりは年上の女とフードを目深にかぶった娘? なので声の主を雰囲気でそう判断した――がさっきと同じ平坦な声で話しかけてきた。


「いえ、母の友人の頼みならばどこまでも駆けつけますよ」


「そう、それは嬉しい。

なら王妃としてではなくあなたの母の友人として自己紹介しましょう。

私がクラ・レクラム・ガーネットよ」


「王妃様に先に名乗らせる失礼をお許し下さい。

私はウイリアム・バーク、王妃様の友人の息子です」


僕たちは互いに名乗ったが、一人だけ何も言わずにいる者がいた。

王妃は僕の思っていることに気づき、


「ハル。

貴方も名乗りなさい」


 娘に名乗るように言った。

 娘は、はいお母様と言い僕に顔を向け、


「ハル・レクラム・ガーネットと申します。

初めましてお兄様」


 と名乗った。

 ……お兄様とはね。

確かに僕のが年上だと思うが、初めて言われたぞ。


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