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青春画廊のお姫様!  作者: えつを。
32/59

7-1

 破壊、だった。

 憎しみも怒りも悲しさも虚しさも快楽も狂気も何もない。

 破壊行動をした人間の意図、意思、感情はどこにも見当たらない。

 ただただあるのは、一ヶ月作り上げてきたものの残骸。

 それと、惨状を目にした生徒たちの涙。

 各々の思いを託し、物語を繰り広げようとしてきた世界の残りカスだけがそこにあった。

 一組。舞台背景を叩き割られ、黒板に罵詈雑言が書かれていた。

 二組。気合いを入れた衣装が破られ、燃やされ、灰になっていた。

 三組。クラス中にペンキが撒き散らされていた。

 四組。自分たちで作曲をしたが、楽譜は破られ、楽器が窓から放り捨てられていた。

 五組。照明器具に高圧電流のトラップがあり、感電した者が現れた。

 六組。ご丁寧に舞台が崩され、見る形もなくなった部品になっていた。

 七組。僕たちのクラスは、無傷。

 セットが残骸となっているのが発見されてからの学校は混乱を極めていた。到底練習などをする心持ちではなく、今すぐに始めたからといって大道具が元に戻るというわけでもないため、早々に帰宅を言い渡された。

 中には激情した生徒がいて他のクラスに理由もなく、お前がやったんだろうなどと怒り狂った生徒が出てきたのもその理由もある。当然、その標的にうちのクラスがならないわけがなかった。

 物語の世界は壊され、人の関係まで壊された。


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