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プロローグ

魔道教導院《エデンの園》。

遥か昔から存在する”魔法”というものを教える学院であり、そして世界に一つの”多国籍”魔道教導院である。


この学院が他の学院と異なり、多国籍である理由。

それは世界間での魔法の活性化が主な目的である。





***


魔法的なプロテクトに守られた空港を抜け、一人の少女がこの人工島に足を踏み入れた。

空から見ているだけでも凄まじい大きさを誇っていたこの島。

名を《エデンの園》という。


「すっげぇ人だな、おい」

空港から出た瞬間に――いや、空港内でも十分な人がいたが――圧倒的な人の波が現れた。

いろいろな国籍の人、人、人。

この大勢の人がすべて魔法使いであるというのだから、すごいことだ。


現在の地球の人口はおよそ七十億。

そのうち、魔法使いが七億。

全人口比にすると、魔法使いというのは十分の一しかいないことになる。


「さてさて、いったい俺の標的( ・ ・ )はどこにいるのかな?」



***



時は数日前に遡る。

魔法先進国、日本。

世界的に見てかなり早期に魔法の力を研究し、現在の主流の魔法体系の基礎を作り上げた国家である。


――そして、その首都”東京”に魔法の名門”躑躅森(つつじもり)”という家が存在する。


壮観な日本屋敷を、どたばたと駆ける音が響く。

音の主は、どうやら縁側に腰掛けている少女に向かって走っているらしい。

「朔夜!さくやさくやさくや…!!」

「うるせぇよ!……なんか用でもあんのか?」


朔夜と呼んだ方、名前を躑躅森(はるか)という。

歳はおよそ十六歳か。

深い黒色の髪と、同色の目が特徴の少女だ。


朔夜と呼ばれた方、名を葛葉(くずのは)朔夜という。

歳は十歳ほど。

白色の髪と、青色の瞳が特徴的な幼女だ。




「うん!重大発表だよ、朔夜!」

「はぁ?重大?」

朔夜――俺は、耳に当てていたヘッドホンをとると、遥の話を真面目に聞くことにした。



「うん!――亡霊(ファントム)が現れたってさ」



「――――――なに?」

重大発表……確かに、その通りだ。

人によっては子供か、と感じるような”亡霊”という名前。

しかし、俺にとっては何よりも優先すべき名である。


軽く深呼吸をし、思考を整える。

「で、どこにだ?」

やつは、亡霊なんて言う名前を持ちながら容姿ははっきりしている。

魔法で変化させている可能性もあるが、それが魔力を介している限り俺に見破れないということはあり得ない( ・ ・ ・ ・ ・)


遥は、手元の携帯端末を少しいじると一つの学院を表示した。

「――魔道教導院《エデンの園》。世界中から優秀な( ・ ・ ・ )魔法使いが集まる、魔法の聖地(らくえん)

「…エデンの園(らくえん)に亡霊?ハハッ、笑えない冗談だな」

笑い飛ばすも、腹の底では怒りが渦巻いている。



――――八年前。

亡霊によって俺は”喪失者”にさせられた。

奪われたものは、すべて( ・ ・ ・ )

そう、今までの自分を形成してきたすべてを奪われた。


俺は必ず取り戻さなければならない。

どんな手を使っても。

血反吐を吐くような努力を続けることとなっても。



「いく?《エデンの園》へ」

「もちろん」


そうして、俺はこの東京からはるか離れた場所。

海に浮かぶ魔法の都へと足を踏み入れることとなった。

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