キケン
所詮小説なんてのは頭ん中のさらけ出し。
ちっぽけな内世界で悪戦苦闘、捻って練って振り回されては、あれよこれよのつじつま合わせ。
不肖、一抹始終。ここはやりたいようにやらせて戴きます。
完全不定期、物語は脳ミソの気まぐれしだい。
終局はここで祈っておきましょう。
それではようこそいらしました、僕の世界へ。
小さいですが、お気に召すままどーぞご覧になって戴きましょう。幕開けです/
彼女は、教室から溢れんばかりの不毛な“ヒゲコール”には一切反応を見せずに、僕という未知の存在に対しても一欠けらの緊張も見せずに、ただ、ただ当たり前に、まるで単なる呼吸の延長の如く、なんの変哲も無い有り触れた口調で僕に疑問を、もう何年も前から用意されていたかの如く、ごくごく有り触れた台詞を使って問いかける。
「キミはいったい誰なのかな?」
それは僕の核心。僕自身でさえ決して許されない、ましてや意も知れぬ他人が土足で踏み入ることなんてあってはならないはずの領域― それは僕の価値それ自体を貫いている
キケン。
それは僕の存在を否定する言葉。
キミの存在を認めない言葉。
けれど、けれど、その時の僕は言葉の意味を、本当の意味では理解してはいなかった。
登場人物/不確定
一渚草太‖転校生その1 ―僕
坂本里美‖転校生その2
松平公正‖教師
山崎透子‖クラスメイトA
斎藤誠‖クラスメイトB
近藤由憂理‖クラスメイトC
衣呂土方也‖クラスメイトD
加藤正直‖クラスメイトE
桂木沙苗‖クラスメイトF
芹沢舞妓‖保険の先生
沖田綾芽‖死者
桜木陽明‖探偵
? ‖助手