1/1
人生最大のくつじょくの日
ーーー冗談じゃない。
女神は心底嬉しそうに言った。
「エルゼリータ、貴女以上に勇者に相応しき魂を持つ者が見つかったのです」
ーーーーー冗談じゃない。
「ですが・・・その者は異界の魂で、しかも体が弱いのです。」
女神は私に目を合わせて静かに歩み寄ってきた。
私は嫌な予感に身を震わせた。
歩みは私の身体のすぐ隣で止まる。
すぅーっと伸ばされた白魚のような手が私の顔を掴んで横に向かせた。
女神のこの世のものとは思えない光り輝くような美貌が間近に迫る。
「ですので貴女の身体。ちょっとその子に譲ってもらえませんか?」
刹那、凄まじい光が辺りを包みこんだ。
眩しさに目を細めながら、私は自分の魂が身体から切り離されていくのを感じていた。
必死に抗おうとしても、神の力の前にはなすすべもない。
ついに私は、女神に一言の文句も言えないまま自分の身体とおさらばすることになってしまった。
ーーーーーー本当に、冗談じゃない!!