番外編2-1 再会
遅くなってすみません!!
サーレル編、第2話です
それではどうぞ。
城に戻って二日目。
サーレルバードは自室でゆったりと寛いでいた。
お供はいつだったか、彼が探し求める彼女の教えてくれた薔薇の紅茶。
「……、……」
自ら淹れた薔薇の紅茶は、彼女が淹れてくれたお茶より幾分味が劣るが───とても懐かしかった。
久しぶりに飲んだ、今となっては。
淡く微笑みながらお茶を淹れる彼女を、じっと見つめるのが好きだったことを思い出す。
執務が一段落したとき、休憩に、と彼女がよくこのお茶を淹れてくれたものだった。
この休憩が、何より楽しみだったのだ。
「アリアも、楽しんでくれたのだろうか」
───あの、ささやかな幸せの時間を。
カップの中のお茶を見ながら、ぽつりと呟く。
空気の振動で、薄茶色の液体がゆらゆら揺れた。
しばらくぼうっとしたあと、サーレルバードは突然ハッと思い付いた。
「そうか……神殿だ」
呟いたあとに、さっと立ち上がった。
彼女と出会ったのが神殿ならば、また出会えるだろうと考えたのだ。
思い立ったらすぐ行動。
とばかりに城を出る準備をする。
部屋を出てすぐに、偶然通りかかった宰相にそのことを伝え、慌ただしく城を飛び出した。
☆
深い深い森の中。
その中心部にある、大きな神殿。
そこにアリアは一人で住んでいた。
明るい明かりが灯っていたからつい、その大きな扉を叩いてしまったのだ。
出迎えてくれたのがまさか、超絶美女だとは思わなかった。
けれど、優しく───知らなかったとはいえ、対等に接してくれることがとても嬉しかったのだ。
だから足繁く通っていたのも、無理はない。
あの暖かかった日常を思い出しながら、サーレルバードは足を進めた。
辺りが既に暗くなってきているので、早めに歩く。
森に入って10分ほどすると、大きな神殿が見えてくる。そんな記憶を頼りに一歩一歩進んでいく。
ついに見えてきた神殿。
相変わらず大きくて白い、神聖な場所だった。
大きな扉をノックもせずに開いて入る。
昔、そうだったように───。
そして。
「───あら、サーレル?」
ずっと待ち望んだ、柔らかな声が耳に入った。
サーレルバードは驚きに目をみはる。
無理もないだろう。
いるのか、と半分賭けた神殿に彼女がいたのだから。
「───アリア……!!」
感極まり、思わず駆け寄ってアリアを抱き締める。
そんなサーレルバードに、彼女は拒まなかった。
反対に受け入れてくれたことに嬉しくなって、彼女の柔らかな唇にキスを落とした。
「やっと見つけた」
驚いて固まっているアリアを見つめながら、耳元にそっと囁く。
吐息がかかったのか、彼女の身体がびくりと跳び跳ねた。
「え、えっと、あの、サーレル? 離して……ってかこれ有名すぎる壁ドン!?」
戸惑った声でおろおろとサーレルバードを見返すアリア。最後に意味がわからない言葉を言ったが……そこはスルーだ。
今は出会えた喜びを噛み締めたい。
「サーレル! 離し……て? ってえっ、ちょっとぉっ!?」
喚く彼女をキスで黙らせ、軽々と抱き上げてスタスタと廊下を歩いて彼女の部屋へと向かう。
部屋に入ると寝台に向かい、アリアを寝台の上に転がしてから自分も横たわった。
もちろん───、彼女を腕の中にホールドすることも忘れずに。
サーレルバードはこの日、まことに至福な気分で眠りについた。
☆
「いきなりキスするわ抱き上げるわ抱き締めてくるわ……、ロールキャベツ系男子か」
サーレルバードが眠りについたあと、その腕の中で彼女がそう呟いたのことは彼女以外誰も知らない。
ロールキャベツ系男子って私的には好きですね。
あ、ロールキャベツ系男子とは、見た目草食系、中身は肉食系のことを差しますw
周りにいないかなあ……案外いたりしてw




