番外編2 帰城
今回はサーレルバード編です、短いかも←
「……」
今日も今日とて歩く歩く。
世界中を旅して、見聞を広めていく。
───彼女に会えることを信じて。
★
世界一周の最後の国、出身地ジースセント王国。
出発したときにはまだ夏だったこの国。
冬になると極寒の寒さとなる北の国にも、春が訪れようとしていた。
「変わってないな」
繊細な面立ちはそのままに精悍さが加わり、クールな美青年となったサーレルバードは、城下の町並みを見てポツリと呟いた。
民に混じり歩き回って、時たま果物を買って食べながら町を進む。
「どーだい、うちのグフスは旨いだろう?」
「───そうだな、旨い」
「だろ!」
活発な果物屋の主人とのんびり会話を交わすサーレルバード。
「また来いよ!」
「ああ」
グフス片手に主人と別れる。
グフスは大ぶりのミカンのような果物で、見た目は少し不味そうだが、とても甘いのである。
「……オーレリアみたいな果物だな、」
見た目は冷たそうで、穏やかそうで。
その実、とても優しくて、繊細で、時に残酷。
見た目で判断すると痛い目を見る───。
グフスもオーレリアも、似た者同士だな、とサーレルバードはほろ苦く笑った。
★
「……おや、戻ってこられたようで」
城に戻ると出迎えたのは、元宰相だった。
驚いたようで、少し目を見開いている。
「たった今な」
苦笑ぎみにそう返すサーレルバード。
「姫君は見つかりましたか?」
「いや、全く見つからんな」
「おや」
「この世界にいるとも限らんが」
「苦労性ですね、貴方も」
「それは俺のセリフだろ」
冗談も交えつつ、談笑するふたり。
和やかな時間が過ぎていった。