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天空の姫巫女 フィールア編  作者: 如月 茅紗
戦争と喪ったもの
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冥王姫-めいおうき-


───この世を形成する全てのもの。


それを造り出したのは────創造主である。


創造主は自ら造り出した箱庭(せかい)に入り、世界の調和を、秩序を守っているのだと言う。

大地の調和が乱れたとき、自ら生贄となり、その身をもって鎮めるのだと言うことも。


創造主は別名、天空の姫巫女と呼ばれるが、今ではそちらの名前で呼ばれることが多い。


また、母なる大地に例え、『大地の巫女』と言われることも多々ある。


───全てを見守り、優しく正しい道を導き出す。


慈母として崇め奉られ、全能神として信仰される。

母である彼女を棄てるなど、許されることではない。

それが、全世界共通の一般常識である。





天界を統べる天帝、全世界の魔界の長を統治する大魔王────は、創造主と同じ祖神である。


天帝はあらゆる全てのものの秩序を司り、また、創造主の子である人間や動物たちに助言を託す役目を担う。


魔王は闇を司り、魔に属する者たちを統べる。

更に、世界の中心部に存在する混沌を封じる役目を担う。


つまり───天帝は静、魔王は動を司っているのだ。


天と魔は相対するふたつの属性であるので、本来ならば気が合うことがな───


「……アリアに会いたい……」

「同じく」

「いっそ迎えに行こうか」

「やっぱりノーフェストか」

「当たり前だ、あの世界(アレ)はあいつのためだけに造った世界だからな」

「……だろうな」

「行くか?」

「……夢渡りしなくていいのか……?」

「……、……忘れてた」

「……。お前絶対アリアのこととなると視野狭くなるよな」

「お前に言われたくはないぞ……」

「……」


──いのだが、彼女に関してだけは気が合うのだ。


愛しているからこそ。

天帝も魔王も、お互いがそのことを知っている。

だが、当の本人だけが気づいていない。


──どれだけ鈍いのか。


何度そう思ったことか分からないが、その鈍さによって救われたこともあるので目を瞑っている。





───して、話は戻るが、創造主が冥王姫(めいおうき)と呼ばれている所以について。


創造主はものを造り出したとき、またその分何かを消滅させねばならないと言う役目を担う。


つまり、生死を司るのである。


例えば人が死に、冥府に行くとしよう。


そこには創造主がいて、楽園の死者都市(ネクロポリス)か償い場所か───裁判を行うのだ。

それこそ公正に。平等に。


傍には冥府の女王セレティアが見守り、死者の魂たちを導く。


だから、冥王姫と呼ばれることがあるのだ。


戦場での召喚呪文は、大抵が冥王姫であることが多い。

召喚するには長々とした召喚呪文が必要となるが、かなり切羽詰まった状況であれば「冥王姫」だけで呼び出すことが可能である。


だが、それを成し遂げることができるのは、呼び出す者の強い願いが原動力となる。


強い願いや祈りが、神々を呼び出す原動力なのだ。



それが出来たことはたった一度しかないと言う。



───そう。



先の大戦であった。




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