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天空の姫巫女 フィールア編  作者: 如月 茅紗
戦争と喪ったもの
34/47

戦争開始2

心地よい日差しの下、穏やかな風が吹く。


人々は人生を謳歌する━━━━はずだった。





「殺れ!」

「ぐはっ」


穏やかな日に似合わず、展開される戦争。

あちらこちらでいろいろな声が上がる。


容赦なしの一騎討ち。


手加減なしの魔術戦。


大地を彩る紅い血。


………長い時間が経過しているはずの戦争に、終わる気配は全くない。


国王(デュカリアス)が前線に出る。

手に持つは秘宝━━━━エレファスの大剣。


指示を出しつつ、様子を見ながら剣術、魔術を繰り出す。


━━━オーレリアは無事だろうか。


そんな思いが胸を過った。


しかし、そんな雑念を捨てなければ戦いに集中できないことを知っている彼。


すぐさまその考えを捨てる。


そして、目の前の敵を斬る。

斬って斬って、斬り続ける。


果てのないこの戦いに、だんだん疲れてきた双方。


けれど、止めれば負けになってしまう。


そんな思いだけが、戦うすべての者たちを突き動かしていた。


果てなき戦い。


終わりはない。


━━━じゃあどうする?


……答えはもちろん。



━━━━終わるまで戦う。それだけだ。



「……っ、我らに救いを! 冥王姫━━━━━!!」



……突然、誰かが叫ぶと同時に。



優しい光が全域を包み込んだ。


━━━まるで、呼ばれるのを待っていたかのように。


まるで……歓喜するように━━━。



「━━━━━お下がりなさい」



ふと、響いたのは女の声。


双方とも、よく知るあの人(・・・)の声━━━━。


「「「「姫!」」」」

「オーレリア!」


みなが叫ぶ。姿を探す。


それこそ、戦うことを止めて。



━━━━そして。



「「「「「……っ!?」」」」」


巨大な魔方陣が大地に描かれて。

白い光がその場を満たし。


「……」


儚げな美女が姿を現した。


純白のシンプルなドレス、緩く(なび)く羽衣。

白く細い両腕。

右手には錫杖、左手には大きな古びた本。

シンプルなドレスには細やかな刺繍や宝石がちりばめられている。


全身白、という一色で固められた姿で唯一異色を放つのは━━━━長い、長い黒曜石のような黒髪。

シンプルなティアラと青色の薔薇、そして桜の花が飾られていた。



そんな神秘的としか言いようがない姿に。


我を忘れて。戦うことを忘れて。


みなが茫然と見ていた。




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