四神たちとの一時
心地よい朝の日差しを浴びながら、神殿にいるオーレリアはため息をついた。
その原因は。
「「「「姫っ!」」」」
「……お黙り、四神たち」
いつもは冷静沈着な四神たちがこうも叫ぶのは、天空の姫巫女であるオーレリアの前だけである。
人型となっている四神たちはみな、見目麗しい美男美女だ。
……朱雀は美女、というよりは美少女だが。
青龍は青く長い髪に空色の瞳の美青年。
白虎は白い髪に銀の瞳の青年というよりは少年なのだが、美しいのは変わらない。
玄武は渋い感じの美青年だ。焦げ茶色の髪に緑色の瞳。理知的な瞳に眼鏡をかけているが、それも魅力の一つだ。
朱雀は四神の中で、唯一の女性である。
紅い瞳に焔の髪。全身赤尽くしだが、ナイスバディなおねーさん……と思いきや、見た目15歳ぐらいの美少女である。
だが見た目に騙されては、後で痛い目を見るのだ。
何しろ「胡散臭そうな笑顔を見るよりは、無表情の方がマシだわ」との爆弾発言をするのだ、言われた方はたまったものではない。
「……で、何の用」
「遊んでよぉー!」
「……何で遊ぶのよ……」
「「「「姫」」」」
「こらそこ、何を言ってるのかしら」
さも当然とでもいうように真顔で言い切った四神たちに、オーレリアは思わず突っ込んでしまった。
……私でなにをしようとしてるのかしら、この子たちは。
そう思ってしまったのは言うまでもなく。
「何故」
「「「姫が好きだから」」」
「……て、あんたたち、姫に本気出してないか」
「「「あぁ」」」
「……、……突っ込む気も失せたわ」
「……姫、あたしがコイツら抑えられるのも時間の問題よ」
「わかってるわ……」
明らかに面倒くさいと書いてある、オーレリアの麗しい顔。
朱雀は思わずため息をついた。
三人がオーレリアを連れ戻そうと暴走するのも、時間の問題であろうと考えられる。
「ただでさえその手の問題ばっかりなのに……」
そう。
オーレリアは恋愛に関する問題を抱えやすいのだ。
その身にあるがゆえ、叶わぬ想いとなるのだが。
だから、オーレリアはそのことに頭を抱えているのだが、あまり解決していないのが大半であるが。
「……はぁ」
こやつらは自分が厄介者であることを、理解しているのであろうか……。
子どもじみた言い合いをしている青龍、玄武、白虎を見た朱雀とオーレリアは同じ考えだったことにため息をつく。
平和そのものであることには変わりはないが、状況がカオスであることを感じているのは、朱雀とオーレリアしかいないだろう。
楽しいがカオスな時間は、オーレリアにとって大切な時間であることには変わりはない。