契約 sideオーレリア
「オーレリア」
「あら、なぁに?」
ノックもせずに入ってきたセフィロスですが、別に気配で分かっているので気にしていませんよ。
「……、……」
「?」
何かを伝えたいようですが、逡巡しているようですね、躊躇っている様子が窺えます。
ですが…美形はどんな表情でもカッコいいですね。
……はっ、つい変なことを考えてしまいました。
「…、契約を、結んでくれないか」
「……契約を?」
「あぁ」
彼の言う『契約』とは、あるものを代償に竜が生涯結んだ相手を守り抜く……確かそんな内容だったでしょうか。
そうだったと思いますが。
「……((コクリ」
了承の意図を悟ったのか、彼の表情が輝きました。
ただ単に頷いただけですが、それだけで分かるのですから案外凄いのかもしれません。
……いえ、全員わかるでしょうが。
「代償は?」
「……オーレリアの血」
「……あら」
どうやら血が欲しいようです。
まぁ、少しぐらい飲まれても大丈夫でしょうが……飲んだあとの彼の様子が気になりますね。
姫巫女の血は力の甘露ですから━━━━━。
さて、どうなることやら……。
まぁいいです、あげましょうか。
「……お飲み、セフィロス」
契約の際、呪文のような言葉は言いません。
ただ、契約者がなんらかの代償を竜に渡せばそれで契約は結ばれるのです。
「……」
セフィロスが私を抱き締めて、首筋へと顔を持っていきました。
……飲み始めたようですね……変な感じがします。
一分位でしょうか、彼が飲みはじめてから終わるまでは。
一滴でも飲めば契約は成されますから、大丈夫でしょう。
久しぶりの感覚でしたので、私は少し疲れてしまいました。
……しょうがないでしょう、前に血を与えたのは二年ほど前ですよ?
「……甘い……」
とか言っているセフィロスは完全無視です。
……まぁ、甘露と言われてますからね、甘いのは当然でしょう。多分。
契約が成されたことが分かったのか、セフィロスが満足げな笑みを浮かべました。
……余裕綽々なあなたが羨ましいです、全く。
休む、と一言言えば、セフィロスは何も言わずに部屋を出ていってくれました。
ありがたいですね。
……でも。
何故、私と契約を結びたかったのでしょうかね。
悶々と考えますが、私にはわかりません。
これは本人に聞いた方が良さそうです。
少しの間のお昼寝。
それではおやすみなさい。