王妃候補ラリアと知識対決2 sideオーレリア
「では、宜しいでしょうか」
「「構いませんわ」」
いよいよ始まるようね。
どんな問題なのかしら、密かに楽しみね。
デュカリアスも手を止めて私たちを静かに見守っているわ……て、なにを頼まれたのかイマイチ分からないのだけれど。
「まずは古代神話から……。
神族、魔族、混沌の魔物……と呼ばれますが、なぜ混沌の魔物と言われるのかその理由をお答えください」
侍女が静かに問題文を言った。
混沌の魔物と呼ばれる理由。
人間でも神族でも魔族でもない、中途半端な存在のその理由。
「……混沌は、魔界ではなく地上でもなくもちろん天界でもない、地中の中にあるもの。
そして、混沌から生まれる魔物たちは、人間の負の感情によって生まれるのですわ」
ぽつり、と漏らした呟きに、全員が反応する。
私の方に目を向けたのが分かった。
「魔物たちの餌は人間の負の感情。
よって、その負の感情を持つ人間たちに魔物は近づくのです」
構わず私は説明を続けた。
「……魔物たちは人間に害を与えます。
ですが、いなかったらいなかったで、この世界の秩序は壊れます……彼らも命を持っているのですがゆえに」
そう。
魔物たちも命を持っている。
だから、いなかったらいなかったで秩序が乱れてしまうのよ。
「魔物たちは滅亡いたしません。人間の負の感情によって生まれるのですから……永遠に、混沌の魔物たちとは戦わなくてはならないのです」
そう締めくくってため息をつく。
案外シリアスなことになったこと。
みな呆気にとられたように、私を見ていた。
……これは説明し過ぎたかしら。
まぁいいわ。知っておいてほしいことなのだから。
「……で、お次は?」
私が漏らした一言で、侍女さんがハッと正気に戻る。
けれど。
「負けですわ……」
と言う、ラリア様の敗北宣言に私は少し驚いた。
潔いのね、と。
結局、私が勝った。
えー……ラリア様答えてくださらないの……。
今のところ吹っ掛けられた対決は、全勝中ね……参ったわ。
もはや何度目かわからないため息をついた。