第1話 枯れた世界と召喚と
世界とは理不尽である。
関係のない人物がとんでもないことに巻き込まれたり
時の運でその者の人生が大きく変わったり。
もう一度言おう。世界とは理不尽である。
なぜなら―――
「おい、聴いているのか?」
まったく関係が無く、とんでもなく大変そうなことに巻き込まれたわけで……
「だ・か・ら、なぜ俺なんだっ!?」
「そりゃぁ、君が死を願ったからだろう?」
誰がそんな事言うか…
それに、いきなり神を殺せとか言われたしぃ…
目を覚ましたらここに居たわけで、意識もしっかりとある。
つまり、はいはい厨二乙w とか言えないわけです
は?どういう意味か分からない?
奇遇だな。俺も分からない
だからこうして聞いているんだろ
「願ってねぇよ!?誰がそんな事言うか!!」
「いや、確かに我は聞き取ったぞ?ほれ。証拠映像」
そういうと、いきなり目の前にデスプレイのようなものが出て来た
こ、これは… さっきまでの俺じゃねぇか!?
『あ~……鬱だ。死にてぇ……』
あ、言ってますね
願ってはいないけど、確かに言ってますね
うぅわァ~… なぜ口に出したし 俺…
とりあえず、凹んだわ 萎えたわ
そんなわけで
「魔王、タイムだ」
俺は、魔王の話を適当に聴きつつ、現実逃避を始めた。
◆
良し……
あれから体感で1時間弱くらい。
もちろん、話などほぼ聞き流していた。
安心せい。魔王に「っで、簡単に言うと?」って聞いたら一発だったぜ
初めからそう言えってんだ……
魔王は神を殺したい。
でも、魔界の事があるから、代わりにお願い。で、俺召喚。
そしてその神が居る異世界へ俺GO!
うん。ふざけんな?
やだよ、めんどくせぇ
どこぞの主人公みたいに補正かかんないだろ?
恋愛も戦闘も全敗に決まってますって……
俺は脳内で愚痴を漏らしつつ、お茶を入れに行った魔王を待つ。
「なんだかなぁ……」
俺はその場に座り込み、ため息とともに上を見た。
そこに見えたものは―――
「っな!?なんだ……ありゃ……?」
そこに見えたのは地球と同じようでそうではない。
まるでアニメやゲームのような世界。
いいや、驚くべきはそんなところではない。
空は真っ白で、雲は愚か太陽や月すらも無い。
それに加え、枯れ果てた大地に枯れた植物たち。
その光景は、世界の終わりのような、そんな気がした。
俺は言葉を失った。
それほどの【 絶望 】がそこにはあった。
「……気がついたか」
何時しか戻ってきていた魔王。
その顔は複雑そうであり、悲しそうであった。
あの顔を見れば、魔王も悪い奴ばっかでは……
いや、元々あった事も無い空想上の人物だと思っていたんだ。
俺が信じるのはこいつ1人で十分だ。
「……あれ、なんなんだよ?」
俺の言葉にピクッと肩を震えさした魔王は、静かに俺の瞳を見つめ―――
「これが、君に救ってもらいたい世界。“プルクラ”だ。」
「ここに……俺が……」
正直、俺は怖い
地獄のように枯れた大地は、
生物が生きているということをまったく感じさせない。
それに空。
白くて綺麗なんて少しも感じない。
世界が枯れていくのを冷たく見ているような……
俺がびびり過ぎなのかも知れない。
それでも……
「……酷い」
俺が震えていることに気がついたのだろうか
魔王はそっと、俺の肩に手を添えた。
その手は、少しばかり力んでいて
俺の震えのせいかも知れないが、
同じように小刻みに動いているように思えた……
しかし、この感情……
この数時間の間… 得にお茶を入れて戻って来た頃からか
何故だかこいつに情が移ったと言うか…
なんだ? 放っては置けなかった
ま、まさかこれは……
2/13 修正。
文をちょいたし。書き方は、行空けを無くした。
重要な変更点は無し。