第11話 帰り道と書斎室と
「はぁ・・・はぁ・・・ふぅ」
切れた息を整えて、その場に座りこむ
実に清々しい気持ちだ。
空はなく、ただ白いだけの頭上
いつかは変えてやりたい
いや、変えてみせる
おっと・・・
最近はすぐにネガティブな思考になってしまう
癖が付く前に辞めないと。
「良しっ」
俺は来た道を戻るために腰を上げる
誰もいない道を一人で歩く
森の間に作られたような道は、草木の香りと頬を撫でる風で気持ちが良い。
そんな心地の良い空間に・・・
「ぷるぅ・・・」
弱弱しい声が聞こえた
何かの生き物だろう・・・
まさか、魔物か・・・?
こ、怖ぁ~
とか思いつつ、気になるので草むらを漁る
するとそこにいたのは―――
「ぷぎゅぅ・・・」
ん?
これは・・・
「フグ?」
完全にフグだった。
前世に見たフグだった!
手乗りサイズで薄い黄色の体。それにたくさんのトゲがあるこの子
「お前はフグか?」
「ぷぐぅ・・・」
「プグ?」
「ぷぎゅ・・・」
弱ってるのか
原因を考えればすぐに分かった
あの大群に巻き込まれたのだろう
こんな小さい体を踏まれ蹴られされたらすぐに死んでしまう
「とりあえず、連れて帰ろう」
両手で抱き抱えて上げると、不思議と痛くはなかった。
膨らみもしないし、陸で生きてるから
やっぱし、前世でのフグとは違うんだなぁ・・・
◆
「お、アルナ! どこに行っていたんだ? そんな汗だくになって・・・」
「あ、エリアさん。ごめん、この子の手当てとか出来ない?」
お城に帰るなり、エリアさんが駆け寄ってきてくれた。
心配させちゃったかな?
でも、今はあのぷぐを優先してもらいたい
俺は、エリアさんにぷぐを渡し、書斎室へと走って行った。
きっと、書斎には魔導書があるから
治癒魔法や、紋章の扱い方が乗っているハズ・・・
「お、ちょっとアルナ!? あ、痛い痛い! トゲを出すな」
後ろでエリアさんが叫んでる
てか、あのぷぐトゲ出すんだ・・・
って、どこに書斎があるんだ?
俺は手当たり次第にドアを開けて確認して行く
「ここか? 違う!」
バンバンバンバンバン―――
開けては閉めて開けては閉めて。
部屋の上に書いてある ○○室 の文字にも気付かず、ただただ開けていた。
そしたら
「くそっ! ここは?」
「え?」
姫様の部屋に当たってしまった
ちょっと短いですけど、書き続ける事が大切なんだと許して下さい
久しぶりなんで更新頑張りますね