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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

神隠し

作者: 葵依 澪
掲載日:2026/01/18

皆様こんにちは。葵依でございます。本作は2作品目。1作品目と同じく以前書き下ろしたものを手直ししたものです。今回は残酷な描写、ホラー描写がございますので苦手な方はご注意ください。

私達はとある峠に来ていた。


とても山奥の、人が全く寄り付かない峠。 近くには使われなくなった旧トンネルと国道もある。 当然、人の住んでいる建物なんてものもない。


何故そんな所へ来たって? それは……。


「ねぇユノ、本当にあるの? 神隠しなんて」


「それを確かめに来たんでしょう。だって、ここに来た人達が誰一人として帰ってこなかったんだよ」


「それに、ミサキだって興味あるんでしょう?」


「まぁね。じゃなきゃこんな所来ないよ。虫だらけじゃん」


私とミサキは高校からの友人で、今は同じ大学の心霊研究サークルに入っている。 私もミサキもこの手の怪談が大好きで、今まで多くの心霊スポットに訪れてきた。 今更怖いもなにもない。


「でもさ、特に何も無さそうだけど」


「てか足元悪すぎでしょ。雨上がりかなぁ……ぐちゃぐちゃじゃん」


「そういえばさ、さっきから全然動物見掛けないね」


ユノに言われ気付いた。 たしかに全く動物を見かけない。 進むにつれ虫も減ってきている気がする。


そう、正に……静寂。


「人が居ないのは分かるけどさ、こんな山奥なのに動物も全然居ないのはちょっとおかしくない?」


「やっぱ神隠し!?」


私とミサキは興奮して言った。 こうやってあれやこれや想像するだけでも楽しい。 残念ながら今まで心霊現象に遭遇できた事はないが、こうやって来るだけでも楽しいのだ。


「え、待って携帯圏外じゃん!」


「マジ? ヤバくない?」


「なんか霧も濃くなってきたし……ユノ、そろそろ帰った方がいいかもよ」


「そうだね……霧で方向見失うかもだし」


結局、神隠しも無かった。スマホも圏外。 霧が酷くなる前に、私達は記憶の地図を頼りにして帰ることにした。


「確かこっち……あれ?」


「ミサキ、どうしたの?」


「本当にこっちだっけ?」


「え? なんで?」


「だってさっき来た時、ここの枝折れてたっけ?」


「誰かが折ったんじゃない?」


「でも誰もいないし、動物もいなかったじゃん」


「……あれ?」


すると、だんだん霧が濃くなって来た。 私達も道が分からなくなってくる。


「ねぇ、ユノ。これ本当に神隠しじゃない……?」


「そんな訳……ミサキ、あそこになんか落ちてない?」


私が指を指した先に、何か白いものが落ちていた。


「なんだ……これ……」


そう言い、私がそれを持ち上げた瞬間。


「ひっ!」


私はそれを落とした。


「ユノ? どうしたの?」


「これ……骨……」


「骨?」


その白いものとは、骨だった。 いや、白くはなかった。 赤黒いドロっとした液体が付いていて、乾いていなかった。


噛み跡もついている。 バラバラにされていて、なんの骨かは分からなかった。 何かに噛み砕かれたような……。


「ユノ……あれ……」


ミサキに言われ、上を見上げる。 さっきは見つけなかった「枝や葉が集められたようなもの」が、木の上にある。


「こんなの、さっきまで無かった……」


すると、視界の端に黒い何かが写った気がした。 嫌な予感がする。今すぐ立ち去りたい。


「ミサキ、行こう」


「ユノ!? 行くってどこに?」


「とにかくこの峠を早く出よう!」


「これ、本当に神隠し?」


「そんなこと言ってる場合じゃない!」


「早くここを出て人里に……」


その時、何かを踏んだ。


「フン……?」


動物のフン。 しかし、動物は居ないはずだ。


すると、背後に何かを感じた。 気配。


そして――酷い腐敗臭と獣臭さ。 湿った息の臭いと音。


私達じゃない。 もっと荒くて野蛮な……獣。


「グルゥゥゥ」


「っ!」


後ろを振り返る。 しかし、もう遅かった。


私達の背後には、私達の何倍も大きい、獲物を見つけ目をギラギラとさせる、熊。


息を荒くし、低く唸って、口から涎を垂らし私達を見ている。 そのまま、その大熊は私達に襲ってきた。


突如訪れた激痛の中で、私は理解した。


あの噛み砕かれたような何かの骨は。 あの木の上にあった枝や葉が集められたものは。 あのフンは。 あの折られた枝は。


すべて、この熊がした事だと。


そして。 動物が全くいなかったのは。 誰一人として帰ってこなかったのは。


神隠しなんかじゃなくて。 神隠しなんかより、ずっと恐ろしい。


ああ……。 熊は、生きたまま内臓から食べるんだっけ。


どんな激痛だろうか。 いっそ、殺してくれ。


人は自然の厄災には勝てない。 この熊はもう、自然そのものと言ってもいい厄災だ。 本来なら森に深く潜んでいるはずの厄災。


なのに私は、そこへ望んで行ってしまった。


ああ、私は。 なんて愚かなことをしたのだろうか。








後日談

「なあ、本当にここが神隠しがある場所か?」


「なんかそう紹介されてたよ。」


俺達は神隠しがあるとされている森に来ていた。


「そういえば先月も女子大生二人が行方不明になってたな。」


「噂ではその二人は行方不明になる前にここに来てきたとか。」


「マジで神隠しだったりして!」


俺達は二人で笑っていた。まあそんなことあるわけないだろうが。


「でも歩きにくいな…少し歩いたら帰ろうぜ。」

「そうだな。」


しばらく二人で話しながら歩いていたら、なにか踏んだ。


「…?フン?」


「おい!これ骨だぞ!」


仲間が指す先には、赤黒いものがこびりついた、骨のようなものが落ちていた。


「骨…!?」


と背後に気配と、強烈な腐敗臭がした。


「っ!?」


俺達の背後には…とても大きな、獣。


「グルゥゥゥ…」


そして理解した。


ああ、神隠しなんてなかった。あったのは、神隠し以上の恐ろしいもの。


やっぱり、ここは来ては行けない場所だったのだ。


そしてまた二人、その森では人が消え神隠しの噂は広がっていった…

お疲れ様でした。こちらの作品も深夜テンションで下ろしたものでして、勢いで進めてしまっているかも、と少し反省をしたりしています。いかがでしたでしょうか?最後の緊迫感を出して主人公が追い詰められていくところを工夫しました。それでは、このような作品を読んで下さりありがとうございました。もし宜しければ、感想やリアクション、星などをつけてくださったら、幸甚の至りでございます。それでは。

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