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相棒は名犬

作者: hiroJH

僕の名前は、J。職業柄本名は明かせない。

最初に僕の話をしよう。

僕は今、人間の歳だと20歳。

もっと小さい時に、ママから双子の弟がいると聞いた事がある。

ただ、ママとも人間の手に寄って直ぐに離れされてしまった。弟の顔も覚えていない。


ある日の朝、起きて、ご飯を食べて、ボールで遊ぼうとした時に、大男に車に乗せられ、遠くの街に連れて来られた。

僕の飼い主を探すためらしい。その日から、僕は狭いゲージの中で他の保護犬達と賑やかな毎日を送っていた。

早く思いっきり走りたい…お腹いっぱいのご飯を食べたい、女の子にもてたいなど考えていた。

ある日の夕方、僕に会いに3人の親子がやってきた。小学生になったばかり位のかわいい女の子だった。僕は、久しぶりにゲージから出されて、ボディチェックされてる間はくすぐったいが、何とかして、この親子に気に入ってもらい、ここから出るために、頑張って吠えない様に我慢した。


努力の甲斐があり数時間後には、外に出れた。僕は、不本意にも首輪が付けられ、リードは小さな女の子が持っている。

脱走は可能だ。ただ、今、脱走したら、また、あそこに連れ戻されて、またあの生活だ、やめておこう。


車の乗り心地は、悪くなかった、ここのパパは、運転が上手だ。隣に乗っているママは、眼鏡を掛けて、何を考えているか、まだまだ正体不明だ。



車が止まった。しまった、気づけば寝ていた…隙を見て脱走するつもりだったのだが、久しぶりに静かな場所が快適すぎて寝てしまった。


小さな女の子はルルと言うらしい。味方か敵かまだ不明だ。


車から降りて、庭に入り、家に入った。悪くない、僕は鼻を鳴らした。

両隣に仲間がいる様だ。また、挨拶しにいこう。


しばらくすると、中学生の2人が帰ってきた。僕が今日ここにいる事を知らなかった様で騒いでいる。なんだかサプライズは楽しい。


これからこの家族と過ごすのか…ルルの相棒役は僕だな、しっかりやるぞ。



数ヶ月平穏な日が続いた。

家族の生活パターンを僕は熟知した。

パパは、何故か週末しか居ない、理由は犬の僕には分からない。

ただ帰って、僕にチョッカイを出してくる。力が強くて、時々痛い。


上の2人は、毎日忙しくしている。

朝、いつも同じ格好をして寝てるのか起きているのか分からない感じで、大きな荷物を持って出掛けていく。

帰りは夜遅く、汗の匂いを放ちながら帰って来る。僕は密かに大好物の香りだ。また、コソッと靴下を奪いに行ってこよう。


1番下のルルは、夕方早くに帰ってくる。

僕は待ち遠しいし、まだかなと毎日遠吠えをする。

なぜかルルにバレていて、ひどく怒られた。

何処で聞いたのかまだ不明である。


また、遠吠えをする理由は、もう一つある。

両隣の他にも仲間いるはずだ、そいつらに声掛けしているのだ。近々、チャンスを見て挨拶回りに行く予定だ。


あと謎なのは、ママの事だ。

どうやら薬局に勤めて、薬を調合しているらしい。家に帰って来ては、今日は変な患者さんが来たなどと、テレビ電話でパパに愚痴っている。

パパさんも大変だ。


ある日の事、ママが昼過ぎに帰ってきた。週に2回くらい昼間に帰ってくる。

録画したドラマを観て、リビングでダラダラして過ごす事を僕は知っている。

ママはいつもの様にダラダラ録画を観ていたら携帯電話が鳴り始めた。

ママは、よそ行きの声をだして、急にバタバタと支度を始め車で出掛けて行った。


チャンスだ。

なんと僕もその車に飛び乗ったのだ。

今まで、何度もシュミレーションを繰り返した賜物だ。

ワクワクして心臓が口から出そうになるのを我慢して、ママに見つからない様に後部座席で息を潜めていた。


車は止まり、ママは薬がたくさんある所に入って行った。僕も後に続いた。

粉を測り始め何種類も混ぜて袋にいれていた。

それを持って、慌てて、歩いて5分くらいのマンションに入って行った。 

部屋番号を押すが反応がなかった。ママは、管理人に声を掛けて事情を話し、ロックを解除してもらいマンションに潜入に成功した。 

どうやら管理人と顔見知りらしい。


エレベーターで8階に上がり慣れた手つきで、植木鉢の下の鍵を取り、ドアの鍵穴に差し込んだ。

ガチャッと音がしてママと一緒に中に入った。あ、断っておくが、ママは慌ててるから、まだ僕の存在に気が付いていない。

僕は一瞬で鼻が曲がりそうになった、すごい異臭だ。


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