2章プロローグ
第二章始めます!
ホンモノ? の聖女が来ます。
「……おいたわしやファーヴニル様……」
遠く、魔国の岩山の上で人影が呟いた。
白い霧の中、少女と思しきその人影は、ゆらりと揺らいだと思うと、燃えるような目を不意にカッと赤く光らせた。
「この私が……、お助けに参ります!」
* * *
「なんかさ、なんとかの聖女ってのがお隣の国にふたりもいるみたいだよ」
某国、王城の廊下。
窓から外の景色を眺めながら、王子が言う。
手には隣国にいる大使からの報告書。
それをパシンと侍従に叩きつけるように渡し、王子は大げさに嘆いてみせる。
「ねえ、ずるいよねえ。ひとりくらいうちに貰ってこれないかなぁ」
「やめてください、殿下」
受け取った書類を抱えるようにして、痛む胃を押さえながら侍従が答える。
「誘拐でもする気ですか? 戦争になりますよ」
「人聞きが悪いなぁ」
ばさりとマントを翻し、へらへらと笑いながら王子が歩き出す。
「うちの国の自称『聖女』と、取り替えっこしてもらおうかなって話だよ」
「自称『聖女』……。まさか、ええと、あの、王女殿下ですか……?」
「そうそう」
すたすたと廊下を歩きながら、王子は頷く。
「僕さあ、聖女をお嫁さんにしたいんだよねえ。箔が付くから後継者争いに有利じゃん?」
ウチ、バカみたいに兄弟多いしねえ、と王子はため息をつく。
「でもウチの国の聖女はあいつだけだしさ、兄弟と結婚するわけにいかないしさぁ」
やれやれ、と肩をすくめた王子はくるりと侍従を振り向く。
「だからさ! 聖女を取り替えっこすれば良くない? あいつもどこぞの王子様と結婚出来れば嬉しいだろうしさ!」
「……それは、……」
確かに喜びそうだ。
でもあの『聖女』を……?
これぞ外交だよ、とけらけら笑う王子を前に、侍従は痛む胃と頭を同時に抱えた。
* * *
「聖女様だぁ!」
ある日。
朝の学園に、元気で明るい声が響く。
よく通るその声とともに、白い人影がエリクシーラ一行に向かって弾丸のように飛び込んできた。
咄嗟に剣を抜いた護衛騎士の脇をすり抜け、その白い弾丸はエリクシーラに向かって真っ直ぐ突き刺さるように飛びついて来た。
「そして悪役令嬢だぁー!」
「はいっ?」
「悪役令嬢だよね!? 私! 聖女! ヒロイン! よろしくね!」
がっ、と両手で握り込むように握手をされ、エリクシーラは目をパチパチさせる。
華やかなピンク色の髪を、何本ものカラフルなヘアピンで留めた美少女が、輝くような笑顔でエリクシーラを見返していた。
ここまでお読みいただいてありがとうございます!
第2章書こうと思ってから、他の作品にチョロチョロ浮気して、随分間が空いてしまってすみません。
考えてばかりで始めないと永遠に始めないな! と思ったので、えいやっとプロローグをアップします!
楽しんでいただけるよう精一杯書いていきたいと思います! またよろしくお願いします!
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次もよろしくお願いします!




