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もてはやされるモノが良いモノとは限らない

昨日、久しぶりの投稿と相なりましたが、その際に作品情報を見て驚きました。この作品の初投稿がなんとちょうど一年前の昨日の日付だったんですよね?!Σ(Д゜;/)/


いえいえ偶然なんですホントに( ´;゜;∀;゜;)

でもこーゆーのってナンか嬉しいですね(*`艸´)


ある日、貴族の間でまことしやかな噂が流れた。

『王族を侮辱した下位貴族が“居た”』と。


目撃者が多数居た為、この噂はより真実味を帯びて語られていたが、世間に公表された侮辱の内容は真実よりもかなり盛られた事を知る者は存外少ない。


厳罰化は当然の事。

その重罪人は今現在では城の奥深くに在る死刑囚専用の牢で厳重管理がなされ、いずれは国家反逆罪で公開処刑されるだろうとの噂まである。


この件の真偽は不明のままだが、ただの重罪人では無い以上十中八九間違いは無いだろうというのが噂する者達の揃った見解であった。


重要なのは王国の威信である。

その頂点に君臨する王族に、端下に等しい臣下が反逆行為に及んだのだ。厳罰に処されても当然と誰もが当たり前に捉えた。身分社会の常識である。


今現在この件について国からの正式な発表は無い。


だがきっと遠からず動きが有るだろうと噂を聞いた貴族達は睨んでいた。でなければ権威は保てない。

まして今の王室は国王・王妃・王太子は元より、その下に集う臣下も歴代に比べて優秀だと評判だ。


そしてどの世界に於いても他人の不幸は蜜の味。

特にあくまでも対面上は品行方正を旨とする貴族社会にあっても所詮は人間、表情は保とうが多かれ少なかれ腹の中にはそれなりに黒い部分を宿しているものだ。注意深く見せないだけで。


さて、今後はどうなるのか?

王家はどう動くのだろうか?


王都のみならず、国中の貴族がその動向を息を呑んで注目する事態となっていたのであった。



☆☆☆☆☆☆



「……つくづく恐いですね王国って」


「その国の次期王妃の台詞じゃ無いわね」


「出来ればご辞退申し上げたく……」


「逃す気が無いわよ、息子含めて全員」


「うわぁい……(泣)」


午後の麗らかな日差しの元、城内の奥庭の一角で開かれていた優雅なお茶会の会話の内容は、聞く者によっては詐欺呼ばわりしたくなる位には程度の低い応酬であっただろう。ちなみに二人は将来の義理の親娘となる間柄であり、現在の国の女性地位のNo.1とNo.2を占めている。


「そんなにあの子が嫌い?」


「執着心と独占欲に満ち満ちの、ヤンデレ具合が天元突破している旦那欲しいですか?」


「……要らないわね。鉄箱に詰めて鎖で厳重幾重にも縛って大量の重石と一緒に海の底に沈めるわ」


「私としては相手がまともなヒロインならあんなのはノシ付けて差し上げたんですけど」


婚約者が嫌いか?と聞かれた言葉に彼女が返せば、そうキッパリはっきり断言しやがった母親。

頷き同意した上で彼女も散々な言葉をまた返す。

仮にも婚約者を『あんなの』呼ばわりしている。

止めない母親も含めて義理の間柄ながらお似合いな親娘関係だと言えるだろう。泣くのは男だけだ。


元々“アシュリフィス”はこの婚約が政略であるとミリ単位も疑ってはいない。その上でもう一人は心底からの拒否反応を示したので親として半ば興味本位で質問してみたのだが、彼女から戻って来た答えは率直かつ辛辣な表現に満ちていた。


息子&婚約者の評価は地の底を這って久しい。


散々な言い種だが、だからこそ評価相手が自分の息子であり婚約者に対しての当事者としては愚痴りに力が入るというモノだ。にしても母親としてその評価はどうなの?と誰か突っ込むべきだろうか?


今は“アシュリフィス”では無い彼女。

自分の正体(?)を明かし、この世界が『とあるゲームの世界観によく似ている内容なのだ』との大まかな説明をトップ3には済ませた。のでこうして本音で語り合える仲となった。まぁその内容も身内……いや息子の評価を含めた愚痴りが大半だが。


ついでに親切に異世界現代用語の解説も行ってくれたので言われた内容も大体が理解出来る王妃。

なので『正当な評価だわ~』と感心してしまう。


「貴女はアシュリフィスとは違うのよね?私は彼女を“アシュリー”と呼んでいるけれど別人ならばそのまま呼ぶのは避けた方が賢明だと思うけど……何と呼べばよいか分からないのよねぇ」


「あー……では“アッシュ”とでも」


「アッシュ、アッシュね。ふふ、存外可愛らしい愛称だこと。……あの子の前では呼び間違えのないように気を付けないといけないわね」


「そこは是非とも宜しくお願いします!!」


ふと思い立ち彼女へ尋ねるとそう返って来た。

ある特定人物の前での呼び間違いに関してやたらと拳を握り締めて強調する。誰とは言わずもがな。


“アシュリー”と“アッシュ”、似ているが何処か印象は異なる。特に後者は男性の様な印象だ。

あくまでも“男性っぽい”印象だけなのだが。


確かに彼女には活発な印象が強い。

……いや、正確には貴族より庶民の印象なのだ。

実際に、彼女……アッシュが生活していた世界ではバッチリ一般庶民だったそうなのでその印象は正しいのだろう。堅苦しさを嫌う訳だ。


未来の義母たる王妃は妙に納得しつつ、城奥での軽いノリのお茶会がいつの間にやら息子&婚約者への愚痴会へと変貌を遂げ、けれども和やか穏やかに過ぎて行ったのでありました。


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