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主をポンコツ扱いする臣下も実はポンコツ


実は主には不名誉な二つ名が纏わりついている。


命は惜しいから誰も口には出さないが一時期その界隈(主に社交界)では有名だったらしい。噂を聞いた際に陛下と王妃殿下と宰相閣下が揃って頭を抱えて膝から崩れたと言う所までがセットだそうだ。


前半は完全な事実で後半は面白おかしく広げられた作り話、となっているが実は全部が事実だ。だって3人にこれを報告したの自分だしぃ~……。

…………その二つ名まで含めて全部がねッ!?


『重狂愛者』(おもくるあいしゃ)。

『特定小児愛者』(とくていロリコン)。


誰だよ?!こんな成人前の多感な時期の男子が考えそうな病的造語で銘々したヤツ!?……しかも微妙に当たってるから文句も言いづれぇわッ!!


言いたいけど言えないジレンマを抱えるやるせなさって分かります?辛いですよ、物凄く!!

あぁ分かりたくないですかそうですか……。


そして何よりも笑うよりも先に泣けて来る。

輝かしい筈の主人が逆に情けなさ過ぎて。

それと同時にこうも思った。

案外真実を射貫いた言葉を創れる能力と見抜く能力の持ち主って世の中には溢れてるんだなーって。

…………スッゴクどーでもいいけど。


それから城の情報は厳重に遮断され管理された。

それを憂いて先に報告した自分の慧眼を褒めたい。

自分達の跡継ぎがどんな人間なのかをよぉおくご存知な方々だからまぁその動きも素早かった。さすがは国家中枢の権力をお持ちな方々ですよ。


周辺の国にその二つ名が知られた日には今まで築き上げてきた『完璧王太子』の名が傷付くからと、今後の我が国の立ち位置が有利になるか不利になるかはお前ら次第だぞ?みたいな言い回しで貴族達の間にも徹底的に念押しまでさせる有り様。


『自国の名が貶められる行為に荷担すれば下手すれば国家反逆罪が適用される』。


そう宰相が各家に赴いて、当主一人一人の目を見ながら、そして肩に手を置きながら耳元でそう言い含めたとか言われているがその辺の真相は不明。


でもねぇ、一時期視察という名目で宰相が王都内に限りはしたけど貴族の家を回ったのは事実。

国の文官トップに君臨する方にそんな事までさせて従わない貴族なんて居ないでしょ?


実際その後、少なくとも城でその二つ名を耳にする事は無くなったのもまた確かだし。さすがは宰相閣下!と御礼と贈り物でもしとくべきかね?

……城の調剤開発部に問い合わせて一番効く頭痛薬と胃薬をセットにして献上しておこっと。

ついでに自分の分を頼んでもバチは当たらんだろ。


ちなみにこの事を主は知らない、筈だとは思う。

自分の能力の限りに情報は遮断した、筈だし。

変に有能だから可能性は無きにしも非ずだが出来れば知らないままならば有難いと心底願う。


私の未来の安寧と健康と平安の為にも。



☆☆☆☆☆



「なぁ、王妃の資格って何だと思う?」


「王位継承権を持つ者を沢山産む事、国王陛下の意図を読み取れる事、外交を卒無くこなせる事、社交もまた同じと……まぁコレが表向き」


「表が有るのか、じゃあ裏は?」


「次期国王陛下の馬鹿を止められる事、次期国王陛下のご機嫌を取って下を楽させてくれる事、万が一の後宮を上手く纏められる事……は無ぇかコイツに限っては。後はとにかく上司からの理不尽をひたすら癒してくれる事だな!!」


「随分と私に含みがあるようだが?」


「気のせいですよ、殿下。休憩しますか?」


「だがそう考えれば私の姫は満点だね♪」


「ハイハイヨカッタデスネー」


何徹にも近い状態が続いてもまだ終わらない執務。

まともに頭を働かせる為にもと殿下との会話を交わしながら書類を捌く。ただあまり馬鹿な内容だと夢の中に引き擦られそうなのでなるべく難しい案件に絞って端的にを心掛けていた。


ちなみにだが、その前は隣国の王族の歳と名前をセットにして言い合ってたし、その前は国の領主の名前をフルネームで、もっと前だと領地の特産と名物を言い当てて。遡ると所々にヘンなモンも入ってた気もするけどその辺は記憶に無いわぁ。


辛うじて薄ぅく憶えているのは、何処ソコの家で飼われてるペットの名前とか、同級だったヤツが実は誰ソレを好きだったらしいとかドイツとコイツが付き合ってただとかだった……ような……?


ココまで来たら少なくとも王太子殿下と側近の会話じゃない。ただの馬鹿男な同士の会話だ。コレ、憶えて無いんじゃなくて憶えてたくなかった?

でも背に腹はかえられぬって言うじゃない??


…………うん、今思えば正気じゃ無かった。

自棄クソもかーなーり混じってた筈だし。

でもその時は最善だと信じてたんですよッ!?


それにしても、ですが。

最後の言葉なんて下手すりゃ勘繰られかねない内容だったけど、殿下も多少は正気を失ってたのかスルーして貰えたから辛うじて無事で済みました。

いゃもぅ心の底から救われましたよハイ!!


殿下は結構鷹揚な方だが禁忌も有る。


1、姫を貶すのは勿論だが必要以上に誉めるのもダメ!懸想してるのか?と邪推するから。


2、異性に1分以上姫と視線を合わせる事を禁止している。破った者は国家反逆罪に問う気満々。


3、姫に万が一在らば!と常に見張りを付けている。何かしらの場合には……以下略。


ホントのホントに洒落にならないから?!

特に2番なんてよく了承されたモンだよね?

コレってちゃんと国法に載ってるのよ……。

誰だよ!通したヤツ?!と言いたい代物だわ。


おそらくだけど、殿下に姫の惚気を立て板に水されて正気を失って了承したんじゃないかなー?

あの無限ループ聞いてると誰もが今の何徹状態に似た感じに陥るからねぇ。仕方ないかなーー?


当時はまだ私は若造だったから止められなかった。

でもそんな私と同い年の若造な殿下はきっちりバッチリ議会に承認させたんだから凄ぇッス。

…………才能の無駄遣いでしか無いけどさ?!


姫君が絡むとポンコツさマシマシなんだけど、同時に有効な手にはちゃんと優秀さを発揮するし、そう考えると殿下って悪くないポンコツなのか?


多少お肌が荒れようと目の下に隈が出来て人相が悪くなろうと大した事は無い。むしろ思考が変な方向に舵を切ってスピードアップする方が問題なのだと、沸騰した様な虫に喰われた様な微妙に不愉快な気分を味わいながらも薄ぅく自覚した。


ただその自覚も長くは続かない。

まぁ無理も無いだろう。何せ脳ミソの疲労はピークに達している。いや、天井知らずの天元突破?

なるべく速くに休める事を祈りつつ、また奇っ怪な遣り取りを主と始めながら手を動かす私だった。



☆☆☆☆☆



少しでも前へと進みたいのに四の五のとワチャワチャとで中々先へと進んで行かない物語。


隠しキャラの王太子に当たりを付けて狙い始めた矢先に騒動を起こして停学喰らったヒドイン。

自分が狙われている事に気付いた対処療法に全面排除を目論んだ結果、忙殺されてソイツとの出会いの場を狭めたまでは良いけれど、代わりに精神的癒しまで失くした自業自得な王太子殿下。


三歩進んで二歩下がる♪

…………では無く一歩進んで三歩下がってる?

頼むから!牛や亀や蝸牛の歩みで構わないから前進して欲しい!!と願うのは無謀だろうか?


姫なお嬢様の激鈍情緒と併せて進行は今二つ。

端から見ているだけならば面白くて済むが、同時に巻き添え喰らう方々の精神的疲労もハンパない訳で、主に胃痛と頭痛が慢性持病となる方々もまた続出する始末。そんな彼らに救いは?


この物語と王国の未来はどっち?!?


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