~第零話~
はじめまして、コウです。
初の作品(厳密には違うけど)となる、「芥少年の日常」です。
拙い文章ではありますが、よろしくお願いします。
「よう」
「…」
目が覚めていきなり視界に飛び込んできたのは、さらしを巻いて、無造作に着物を羽織っただけの服装の、煙管をくわえた女の人。黒髪を下の方で軽く結っただけの髪型で、睫毛が長く大きな目に、すっと通った鼻筋、それから真っ赤な唇。笑みをたたえた、その整った容姿に禍々しく刻まれた、右眉から右目を通り、頬まで達する傷。それでも確実に美人という部類に入るであろう彼女の顔が、寝起きにいきなり飛び込んでくるというのは、思春期の男子として何も思わないわけではないけれど、それにしたってキツくないワケはない。
「…何してんだよ…」
むくりと緩慢な動きで起き上がる。
最悪の目覚めだ。いや、目覚めは最高だが、気分的な問題で。
「何を言う!芥の守護霊としての役目を果たしているところに決まっているじゃないか!ほらー学校に遅刻しちゃうよーん」
頬を軽く染め、呂律の回らない口調でそう言う。加えて妙に高いテンション。…こいつ、まさか……!
「また朝から呑んでんのか!?っていうかまだ四時だよ!六時まで寝かせてくれ、っていっつも頼んでるだろ!…それに、しょっちゅう僕にワンカップやら発泡酒やら買いに行かせるお前が僕の守護霊面すんな!」
「ナイスツッコミ!」
…。
…コイツイツカコロシマス。
…霊だから無理だけど…。