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海賊放送船イービル・トゥルース号の冒険  作者: 悪魔の海賊出版
第三部・キャプテンパンダと愉快な仲間達号の冒険

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やるぞ! キャプテンパンダと愉快な仲間たち号 〜本気を出した獣達〜

やるぞ! キャプテンパンダと愉快な仲間たち号 〜本気を出した獣達〜



「こちらはギャラクシーパンダエクスプレス所属、銀河間航宙貿易船、キャプテン・パンダと愉快な仲間達号だ。一切の警告なしにカワイイパンダマークが売りの本船に、いきなりの直接攻撃を行ったことについて説明を求めたい。応答せよ。応答せよ」

 アークのもう何回目かわからなくなった再三の呼びかけに対しても、ミーマ席の通信装置は沈黙を続けた。

「一切応答ありません」

 ミーマが落胆らくたんした表情で告げる。

 その瞬間、艦橋前面のブ厚い硬化テクタイト製窓が閃光に満ちる。

 対抗障壁によって相殺される、極大威力のエネルギーが生み出す余剰電磁波が船体に干渉し発生する、遠い雷鳴のような轟音がアイアンブルーとガンメタルグレイに包まれた艦橋を震わせる。

「第四斉射。あいつら、真剣にあたし達を沈める気だよ」

 サディが歯ぎしり。

「宇宙空間戦闘の王。戦艦の一斉射を四回耐えてる時点で、ただのイチ民間船の看板は通じないでしょうけど……」

 AXEがレーダー盤に視線を落としながら、静かに言った。

「あまりに不可解な状況です。公開チャンネル通信は、あらゆるドンパチの最中であっても常時受信が戦闘艦の定石です。通信が届いていないはずがありません。それを完全に無視するなんて……」

 ミーマが困惑こんわく

「対抗障壁使用率6%。コタヌーンさんが補助動力機関への接続をしてくれました。まったくもって余裕ではありますが……」

 タッヤが計器類をみつめながら言う。

「アイツラ、キクチカラガイカレテヤガル」

 とはイクト・ジュウゾウ。

「発光信号用意」

 アークが歯ぎしりしながら言う。

「船体各部の衝突警告灯しょうとつけいこくとうを発光させて信号を送信します。送信電文は?」

 AXEが発光信号を叩くキーボードに指をそえる。

「こちらは消極的戦争主義者の野蛮人が満載まんさいの、パンダの皮を被ったガチでバチバチの悪夢みてえな存在だ。シンセティック・ストリームのクソ野郎ども、いますぐ応答しねえと、てめえら全員で死ぬことになるぞ。だ」

 そう言ったアークの瞳が、どんよりとにごりはじめる。

「Space Synthesis System標準パターン、その他Space Synthesis System勢力外で使用されている5種類の方式でメッセージを発光信号に変換。メッセージ送出開始」

 AXEがアークの言葉をキーボードを叩き、次々に発光ボタンを押す。

 艦橋前面のブ厚い硬化テクタイト製窓が、船体各所で明滅する光にほのかに染まる。

 アイアンブルーとガンメタルグレイで構成された艦橋は、発光信号に対する返答を待つ沈黙に包まれる。

 20秒間の長い沈黙の後、シンセティック・ストリーム宇宙戦艦から届いた応答は、ブ厚い硬化テクタイト製窓が閃光に満ちる、第五斉射による閃光だった。

 真っ赤なリンゴみたいに赤い瞳をギラつかせたサディが、静かに話し出す。

「前に襲われた時だって、あいつら公開チャンネル通信にすら答えなかったよね? ねえ、仕留しとめようよ。あのクソ艦を。まわりには他のシンセティック・ストリームの艦はいやしない。軍用通信は軍関係以外は誰も聞けない。聞ける奴等は全員が通信不能のグラジ・ゲートの向こう。あいつの悲鳴は誰にも届かない。こんな好条件はないよ。アーク。あいつに真っ赤な液体で濡れ濡れのキモチイイ大穴を開けてあげた後に、イケナイやつを突っ込んで中身をグチュグチュにかき回してあげようよ。そうしながら、ねえ? なんでこんなイケナイことをしたの? って聞いてあげたら、あいつらもヒィヒィよだれと涙を流してペラペラしゃべりだすんじゃないの?」

「そいつは、いいアイデアだ」

 どんよりと瞳をにごらせたアークが、ゆっくりとサディに答えた。

「アーク……」

 タッヤが計器類から視線を外し、アークをみつめる。

「ブラックホールが白く輝き光る時がやってきたのか、本船の懐事情ふところじじょうはいまやほっかほかのほっくほく。タッヤ、財務的にどうとかは通らない」

 どんよりと瞳をにごらせたアークがタッヤに返す。

「アーク、交戦には船長の許可がいりますよ」

 AXEがレーダー盤から視線をあげて言う。

「ぱふぉ」

 間髪入れず、AXEの背後、艦橋最奥からのパンダ船長の声。

「殺れ。船長はそう言った」

 アークが間髪いれずに船長のご英断を翻訳ほんやく

「マジですか……」

 タッヤの声に絶望感があふれる。

「やっちゃうのぉ!?」

 いつもとまったく違う展開にミーマが驚愕きょうがく

「ハンドメイドショットガンヲ、ヤツラノドタマニブチコムゼ」

 とはイクト・ジュウゾウ。

「よっしゃぁぁぁぁぁぁぁぁッ!」

 武器管制盤の黄色いドクロ印のボタンに、サディがちいさいお手々で作った拳を打ち下ろす!

 艦橋前面ブ厚い硬化テクタイト製窓に橙色だいだいいろの閃光が走る!

 ずっがーーーん!

 船体を伝わり、艦橋に轟く爆発音!

 橙色だいだいいろの閃光が去った硬化テクタイト製窓の先には、宇宙の果てへ向かってブッ飛んでいくドーム型のカバーが、星々の光を受けてサヨウナラと発光信号をきらきら放ち輝いている。

 眼下に現れたのは、100%混じりっけなしの純粋な暴力を真っ直ぐに走らせる、あの愛しい45口径46銀河標準センチメートル砲三連装砲塔。

 アークがヘッドセットマイクのスイッチを入れて、機関室に通信をつなぐ。

「機関長。コタヌーン殿。本船はガチでバチバチの消極的戦争主義者だが、本日ついに堪忍袋かんにんぶくろが切れた。本船はこれよりガチでバチバチの戦闘行為に、ズコンバコン突っ込むことになる。ついてはうるわしの本船の素敵なケツをあっつあつに火をともし、いきりたつ主砲にどくどくエネルギーを注ぎ込むことに夢中になっていただきたい」

「まじですかぁ。つまりこいつは大事だったってことですなぁ」

 この状況になっても、いつもとまったく変わらない調子のコタヌーンの返答。

「そうだ」

 アークはそれだけ言って機関室との通信を切った。

「サディお姉さんが、お一人様で一方的にしかお相手にブッ放したことしかないさびしいあんたの、最初で最後の双方向行為そうほうこうこういのお相手になってあげるよぉ」

 サディが牙のような犬歯をむき出し、カワイイお顔を主砲照準器に突っ込み、なまめかしく舌なめずり。巨大なリボルバーカノンを模した主砲操作桿をガッチリ握った黒いマニキュアが映えるお手々は、いますぐあんたをイカセてあげるよとあでやかにうごめく。

「く、くそが……」

 真横に突然現れたちのぼる、ガチでバチバチに前向きな殺意の冷気に、ネガが震え上がり静かに毒づく。

「殺るとなったら、1オングストロームでも早い方がいい。サディ。いつものやつをやって殺る。ただし、やつの戦闘指揮所はブチ抜くな。エグいのを突っ込んで、ヌレヌレの赤い液体と中身をかき回すお楽しみタイムになっても、何にも言わなくなっちまったら楽しくない」

 どんよりにごった瞳で、アークが言う。

「いいシンセティック・ストリームは、死んだシンセティック・ストリームだけだ。って言うけどねえ。赤い液体と中身をかき回すミックスジュースのお楽しみがなくなるのは残念だ。いいよ。一発でイカせてあげるのはがまんするよ」

 サディがうなづき。武器管制盤のボタンを叩く。

 艦橋前面、ブ厚い硬化テクタイト製窓の先に広がる甲板最前列、1番砲塔が右へと旋回を開始する。同時に艦尾艦底に1番近い四盤砲塔が左へと旋回を開始。

 驚異的な重量の金属塊が旋回動作する、重苦しい駆動音が艦橋に響き渡る。

 かつてモッキンバード星系で、Space Synthesis System中枢閣が、時代遅れどころか化石級の実体弾しか発射できないポンコツ砲と閣議決定した、45口径46銀河標準センチメートル砲三連装、1番砲塔と4番砲塔がそれぞれ明後日の方向を狙う。

「積極的平和主義者だったことを、ダークマターにかえって未来永劫永遠みらいえいごうえいえんに後悔するんだね!」

 サディがリボルバーカノンを模した、主砲操作桿の引き金を引く!

 艦橋前面、ブ厚い硬化テクタイト製窓を染める爆薬がうみだす紅蓮ぐれんの炎!

 ずっがーーーーん!!

 船体を震撼しんかんさせる、爆音が艦橋にとどろき揺れる!

 それぞれ明後日の方向への主砲発射の反動で船体が大回転を開始! 一斉に流星群となって流れ出す銀河の星々!

 重力管制装置で消しきれない横Gが、乗組員達を戦闘用ハーネスで締め上げる!

「くそがぁぁぁぁぁッ!」

 ネガが全力で操縦桿を倒し、爆薬式の主砲発射が生み出す莫大ばくだいな反動による船体回転に、全力でネガティブパワーを叩き込む!

「あんたらが積極的に平和力を好き放題行使して抑止してきたと主張する戦争が、今日ついにがまんの限界をむかえたんだよ! 思う存分ナマで本物の戦争ってやつをブチ込んであげるから、その身でしっかり味わいなさい」

 ブ厚い硬化テクタイト製窓の先、流星群がその流速を落とし再びまたたくく星に戻った瞬間、サディが2番主砲の照準にシンセティック・ストリームのクソ野郎をとらえ、黒いマニキュアの映えるか細い指が巨大なリヴォルバーカノンの引き金を引いた。

 艦橋にもっとも近い、上甲板2番主砲三連装砲塔が発砲!

 ブ厚い硬化テクタイト製窓を、冷酷な暴力が生みだす青い閃光で染める。

 機関副長オクタヌーンがあり得ないと主張する、エニグマエンジンのオーバードライヴ領域が生み出した莫大ばくだいなエネルギーが凝縮収束ぎょうしゅくしゅうそくされた、極大威力100%混じりっけなしの純粋な暴力が、秒速29万9792銀河標準キロメートルの速度でシンセティック・ストリーム艦に襲いかかる!

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