カラカラの世界を濡らせ!
カラカラの世界を濡らせ!
イービル・トゥルース号の格納庫に、聞き慣れない声が響きわたる。
「さあて、お嬢ちゃん達〜。準備はいいかい?」
身長2メートル。褐色お肌に黒髪ロング。ボンキュッボンのすんばらしいボディを、ガチバチのベルトとバックルだらけの軍隊仕様のバトルスーツに身を包んだお姉様が、金色と銀色の瞳をギラつかせてそう言った。
「あの……。本当にミーマさんなんですか?」
真っ赤なリンゴみたいに赤い瞳のお目々をまんまるにして、バトルドレス姿のサディが問う。
「間違いなくミーマだよぉ。こいつは闇取引仕様のお姿ってわけさ。まあ、でも、なじみがないのも仕方ないよねぇ。そういうわけで、シノギの間はセンクターって呼んどくれ」
身長2メートル。褐色お肌に黒髪ロング。ボンキュッボンの過激なボディを、ガチバチのベルトとバックルだらけの、どこかの軍隊制服と思われるバトルスーツに身を包んだお姉様が、金色と銀色の瞳をギラつかせてサディに返す。
「あの……。闇取引仕様って……。お姿、身長、ボディライン、声及び人格まで、完全に別人になっていませんか?」
鳥獣戯画が背中に描かれたバトルスーツ姿のAXEが、目を驚きに見開いてミーマことセンクターに言う。
「クリスタル・シュガー星人は、ちっちゃい氷砂糖みたいな半透明の姿だけじゃない。もうひとつの別の姿を誰もが持っているのさ」
そう言って金と銀のオッドアイをギラリと光らせるミーマことセンクターが、アークが開発したモビル・トルーパー、カラミティ・ヒアへと向かう。
ゴツン。ゴツン。ゴツン。
二メートルの長身が生み出すバトルブーツの音が、イービル・トゥルース号の格納庫にハードに響く。
センクターの前に立つ全高四メートルの鋼鉄の巨人は……
ダーク・グリーンの機体に、各種探知センサーとレーダーを搭載。左腕は巨大なクロー、右腕には繊細な五指のマニュピレータ、背面には牽引装置等を装備した、災害救助特化型マシーン、ミーマ・センクター専用機・カラミティ・ヒア。
全高四メートルしかない機体に、センクターは身長二メートル。開放した胴体部の操縦席をのぞきこみ、センクターは深いため息。
「この鉄の棺桶はクッソ狭いねえ。ミーマだったら余裕なのにさ」
ふんっ! ふんっ! ふんっ! おりゃ!
なんとか操縦席に潜り込み、操縦席を閉鎖。
ペダルをゴツいバトルブーツでガツン! と踏み込む!
キュィィィィィィン!
ミーマ・センクター専用機・カラミティ・ヒアが、アクチュエーターの唸りをあげて起動する。
「さあ、いくよ! お嬢ちゃん達! ガチでマジのご禁制品になっちまったブラックレーベル作品(通称BL作品)をさばきに行くんだ!」
「船体速度順調に低下中。反重力装置稼働率80%。地表までの高度4500。降下速度毎分1000。30秒後に高度速度ともに降下可能領域に到達と予測。格納庫開放操作は艦橋側にて実施。格納庫開放後すみやかに急襲降下を開始してください」
タッヤが計器類を読みながら、格納庫にいる三人の急襲降下部隊に連絡。
「了解。30秒後。すみやかに急襲降下を開始する」
センクターが駆るカラミティ・ヒアからの通信。
「周辺状況からみて、シンセティック・ストリームのクソ野郎どもが駆けつけてくるまでおよそ11分の時間がある。降下に1分、3分で全部さばいて、ゼニーかついで全力でこの船に戻ってこい。本船は急襲降下実行後は不規則行動を開始する。その後に急速反転して10分で降下ポイントに再び戻る。その時が合流のチャンスだ。これを逃した場合、再び合流できる時間及びポイントは不明。そうなった場合、戦闘時には何の役にたたないゼニー抱えて、再び出会えるまでこの星の砂漠で潜伏生活だ。カピシ?」
今日はミーマの席にかじりついたアークが、ミーマ役となってヘッドセットマイクに状況を伝える。
「カピスコ。濡れるようなブツの取引に砂漠とはねえ。こっちがカラカラになる前にシャワーにありつきたいもんさ」
カラミティ・ヒアからセンクター。
アークはミーマ席から飛び出すと、アイアンブルーとガンメタルグレイの艦橋をダッシュ!
今度はAXE席にかじりついてレーダー盤に視線を落とす。
「レーダーに感なし。阿呆タロウのアスホールなシンセティック・ストリームは、いまだ本船に対して認識がないと思われる」
今度はAXE役になったアークが状況報告。
「ジカンダゾ!」
イクト・ジュウゾウの声に、タッヤが速度と高度が降下可能領域であることを確認。格納庫の開放レバーを一気に倒す!
「いってらっしゃいませ! お嬢様! 盛大なる稼ぎを期待します!」
唸りをあげる風切り音!
開いた格納庫のはるか彼方の下に広がる地上は、カラッカラの茫漠とした砂漠が地平線の先まで続く世界。
「お嬢ちゃん達! カラッカラの世界を濡らしに行くよ!」
アーク開発のモビルトルーパー、カラミティ・ヒア・災害救助特化型・闇取引換装版が、ブラック・レーベル作品満載のコンテナを格納庫から押し出し落とす!
「いーやっほー!」
通常の3倍カワイイキャンディアップルレッドが格納庫の床を蹴って、砂漠の空へと飛び出していく。
「AXE! AXE-AXE! 降ります!」
漆黒の機体に溶断斧・アチチアックス(断じてヒートホークではない)を背負ったAXE-AXEが、格納庫から空へと踊る!
三機の全高四メートルの人型メタルマシーンと、ご禁制品満載のコンテナが、星の重力に引かれるままに地表へと急襲降下を開始する!




