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海賊放送船イービル・トゥルース号の冒険  作者: 悪魔の海賊出版
第三部・キャプテンパンダと愉快な仲間達号の冒険

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ぐるぐるぐるぐる

ぐるぐるぐるぐる



「おお〜。昨夜は絶好調でしたなぁ。これはいずれちぐにゃにゃんの稼ぎで、この船がやっていける日もきそうですなぁ」

 機関室で今日もメインエンジンの面倒めんどうをみているコタヌーンは、めずらしく機関室にやってきたサディにそう言った。

 あれ、きつそうですよね。とサディに言いかけて、オクタヌーンは言わない方が良さそうだと言葉を飲み込んだ。

「ちょっとお願いがありまして」

 そう言ってサディが着物のそでの中から取り出したのは、あの、秘密平気! ちぐにゃにゃんスイッチだった。

「?」

 サディが取り出した奇妙なハンドル付きのレバースイッチをみつめて、コタヌーンとオクタヌーンの頭上に?マークが点灯する。

「このハンドルをぐるぐるしてもらえませんか?」

 サディが言った。

「このハンドルを? いや、別にかまいませんがねぇ」

 そう言ってコタヌーンは、サディの手から巨大なハンドル付きレバースイッチを受け取り、ぐるぐるとハンドルを回し始める。

「お? なんかけっこう重いですね? これはお嬢さんには確かにキツそうだなぁ」

 意外に力がいる作業に、コタヌーンが言う。

「そうなの。一晩中回してたんだけど……。だんだんハンドルが重くなって、限界がきちゃって。だからコタヌーンさんにも回してもらおうと思ったんです」

 サディはうつむきそう言った。



「すごいスーパーチャージの額ですよ! アーク! たまにはちゃんと実益じつえきにつながるものを開発できるじゃないですか!」

 昨日の収益しゅうえきに大喜びで羽を広げて絶賛ぜっさんするタッヤ。

「俺が開発したモビルトルーパーがなかったら、7000万ゼニーに変わったあのクソグロいブツだって、捕まえられなかったと思うんだがな?」

 アークがタッヤの絶賛ぜっさん片眉かたまゆをあげる。

 あのスイッチがインチキであることを見抜いてしまったAXEは、目を細めてインチキスイッチの開発者のアークをみつめている。

 ちぐにゃにゃんが限界をむかえた後の出番を狙っていたミーマは、つまらなさそうに自席の情報表示盤をみつめている。

「ロボットニジンケンヲ! コイツヲホウソウシタイトオモッテイルガ」

 とは、イクト・ジュウゾウ。

 プシュー。

 艦橋の耐圧扉が開く音。

 透き通るような銀髪に、真っ赤なリンゴみたいに赤い瞳。漆黒と深紅の地に黒いバラの柄が揺れる袖、そのお手々に秘密平気! ちぐにゃにゃんスイッチ! をがっちりつかんだサディが艦橋に入ってくる。

「おお。サディ。まだ定時配信までは時間があるが?」

 アークが珍しく早く起きてきたサディに言う。

 かつかつかつかつ。

 サディはアークに向かって一直線。

「アークの語尾にゃんが聞いてみたい!」

 サディはそう言うと、アークの背中に秘密平気! ちぐにゃにゃんスイッチを押し付けて、ためらうことなくレバースイッチをONにした!

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ああああッ!」

 アイアンブルーとガンメタルグレイの艦橋に、ちぐにゃにゃんスイッチのフレームを走るアーク放電の青い閃光が満ちる!

 科学的にはあり得ない、目の錯覚さっかくが生み出した幻影げんえいか!? アークの中身、骨が一瞬見えた気がする!

ぷしゅー……

 アークの身体から煙があがり、ゆっくりとひざからくずれ落ちる。

「さあ! 何か言ってみて! アーク!」

 サディが期待と一晩寝ていない異様なテンションに満ちた、真っ赤なリンゴみたいに赤い瞳をらんらんと輝かせ、艦橋に横たわるアークに言う。

 これはまずいことになりましたね! 

 AXEが崩れ落ちたアークにすっ飛んでいく。

「ダイジョブですか!? アーク!?」

 と大声で言った後、倒れたアークの耳もとで誰にも聞こえないように

「アーク、これは数日はにゃんと言わないと、インチキがばれますよ」

 とささやいた。

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