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海賊放送船イービル・トゥルース号の冒険  作者: 悪魔の海賊出版
第三部・キャプテンパンダと愉快な仲間達号の冒険

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あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ にゃにゃにゃぁぁぁぁ!!

あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ にゃにゃにゃぁぁぁぁ!!



 ぐるぐるぐるぐる。

 呆然ぼうぜんとするちぐにゃにゃんことサディ。唖然あぜんとする乗り組員達の視線を一身いっしんに受けて、アークが秘密平気! ちぐにゃにゃんスイッチのハンドルをぐるぐる回す。

 ぐるぐるぐるぐる。ぐるぐるぐるぐる。

 ぐるぐるぐるぐる。ぐるぐるぐるぐる。ぐるぐるぐるぐる。

 ぐるぐるぐるぐる。ぐるぐるぐるぐる。ぐるぐるぐるぐる。ぐるぐるぐるぐる。

「最初の一発めだし、これくらいでいいだろう」

 アークがハンドルを回すのをやめて一息つく。

「で?」

 ほほをピクっと引きつらせて、サディが問う。

「ハーネスがついているだろう? これを背中にとりつける。あとはレバースイッチを入れた瞬間、サディよ。この秘密平気! ちぐにゃにゃんスイッチが脳にむけて猫娘パワーを送り込む! 昨夜は内緒ないしょで自分を実験体にして試してみたが、ついさっきまでにゃあにゃあ言うのがやめられなくなるくらいで、特に人格にも肉体にも害はなかったし、もちろんただちに死ぬということもない。安心しろ」

 キリリと表情を引き締めたアークが言う。

「あの……。すでにアーク自体がイカれてしまっているから、なにも問題が起きなったということでは?」

 とAXEは言った。



「うううう……」

 サディは定時配信前の変身儀式へんしんぎしき、ヘッドセットマイク付き猫耳カチューシャと、着け尻尾しっぽをアークとAXEにセットされながら震えていた。

 その背中にはイカツイハーネスで取り付けられた秘密平気! ちぐにゃにゃんスイッチ!

「ダイジョブだ。スイッチを入れれば自然と語尾ごびはにゃんになるし、猫娘キャラへのシンクロ率が圧倒的に上昇することで、今までのように、い・か・に・も・む・り・し・て・い・ま・す、という感覚もブッ飛んで消える。一気に楽になるぞ」

 アークが猫耳尻尾姿でちぐにゃにゃんへと変身した、サディの背中のレバースイッチに手をかけて言う。

「お時間です! ナイン・トゥー・ポイント・トゥー! 92.2銀河標準メガヘルツ! RADIO・ちぐにゃにゃん! NOW! ON AIR!!!」

 ドクロマークのうえに猫のシールが貼られた赤いボタンに、ミーマが半透明の拳を落とす!

「秘密平気! ちぐにゃにゃんスイッチ! ON!!」

 アークがサディの背中のレバースイッチをバチン! とONに倒す!

 秘密平気! ちぐにゃにゃんスイッチのフレームにアーク放電ほうでんが走り、艦橋に青い光をバチバチ飛ばす!

「あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ!!!!? にゃにゃにゃぁぁぁぁ!!!!??」

 RADIO・ちぐにゃにゃん! NOW LOADING!! と表示されたサムネイル画像にちぐにゃにゃんの悲鳴が響く!



「ちぐにゃにゃん、お魚大好きにゃん。でも、本当は1番大好きなのは貝なのにゃん。でも、子あーくま子猫になりたいから、お魚が1番好きってことにしてるにゃん。猫が好きなのはお魚に決まってるにゃん。でも本当は貝がいっぱい食べたいにゃん。もちろんナマが1番にゃん」

 ちぐにゃにゃんのなめらかな語尾にゃんトークが艦橋に流れる。

「きてます! スーパーチャージが今までとはくらべものにならないくらい、ガンガンにきています!」

 ガンガン投げられるスーパーチャージの額に、レッドゾーンへと突入していく計器をみつめて、タッヤが興奮こうふんを抑えきれずに言う。

「まじですか……」

 ちぐにゃにゃんの後釜あとがまを狙っていたミーマが、呆然ぼうぜんとした表情でなめらかに進行していく配信を聞いている。

「ちょっと! アーク! あのスイッチ! あれはいったいどうなっているんですか!?」

 ヘッドセットマイク付き猫耳カチューシャと着け尻尾、いわゆる圧倒的シンクロ率! ちぐにゃにゃんなりきりセットを開発したAXEが、血相けっそうをかえてアークの首根っこをつかんで言う。

「いやいや、そんなたいしたもんじゃねえって。ただの電気ショックよ」

 AXEにくびねっこをつかまたアークは、サディに聞こえないように、艦橋のすみにAXEを誘導ゆうどうしつつ言う。

「ただの電気ショック!?」

 AXEの目が点になる。

「そうよ。ハンドルぐるぐるでスイッチの中にたまった電荷でんかが、レバースイッチを倒すと一気に放出されてビリビリ! それだけ」

「はあ? それでどうして人が猫娘になるんです?」

「まあ、催眠術さいみんじゅつってえか、プラシーボって言うか……。ルーチンというか。そういうもんよ」

 そう言ってアークが肩をすくめる。

「つまり……。やっぱりインチキなんですね?」

 目を細めてアークの瞳をのぞきこんだAXEは、秘密平気! ちぐにゃにゃんスイッチの正体を理解した。

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