アーク・マーカイザックの気だるく優雅な起床
アーク・マーカイザックの気だるく優雅な起床
結局アークが起きてきたのは昼過ぎだった。
「あれからどれだけ深海生物を眺めていたんです?」
タッヤの問いに
「いや、零時半には寝たんだが……」
と返すアーク。
「12時間以上寝てたわけ」
AXEがため息をつく。
「船長はたっぷり休め。そう言った。俺はたっぷり休んだだけだ。第一、ここは深度3500メートルのド深海だぞ。やることなんてたいしてないだろう? なあ、船長」
「ぱふぉ」
相変わらず微動だにせず答える船長に、アーク以外の全員がしらけた視線を送る。
「で、サディは?」
アークが問う。
「まだ寝ているようですね」
ミーマが答える。
「にゃるほど」
アークはそう言って、自分の席に置いてあるヘッドセットを手に取る。
「起きろ。サディ。大好きなブッ放すお仕事のお時間だぞ。至急艦橋まで、至急艦橋まで」
アークの声がイービル・トゥルース号船内に響き渡る。
「俺も相当だが、サディにはかなわんな」
アークはそう言うと、艦橋最前列の自席にどかりと座る。
「サディがきたら起こしてくれ」
アークはそう言うと、あっという間にまた寝てしまった……
「クソが……」
やっと起きてきたと思ったら、秒で寝てしまったアークをみつめ、ネガはガスマスクの中で静かにそう言った。
「まあまあ、ここは自由な船ですから」
しっかり聞こえていたタッヤが、羽を広げておおらかにそう言った。
サディが起きてきたのはそれから一時間を過ぎてからだった。
「おはにょ〜」
真っ赤なリンゴみたいな赤い瞳にうつろな感じを漂わせながら、サディが艦橋の耐圧扉からあらわれる。
「こん」
「こんにちは」
「こんにちはでございます」
「コンニチハ」
「クソが」
それぞれの挨拶の中をゆらゆら歩きながら、艦橋最前列の席で眠るアークのところにサディがほよほよ歩いていく。
自席ですやすや寝ているアークをみて
「なんだよ! 自分はまだ寝てるんじゃん!」
とサディは叫んだ。