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海賊放送船イービル・トゥルース号の冒険  作者: 悪魔の海賊出版
第三部・キャプテンパンダと愉快な仲間達号の冒険

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キャプテン・パンダと愉快な仲間達が宇宙を行く

キャプテン・パンダと愉快な仲間達が宇宙を行く




 どこまでも広がる星の海を、船首のカワイイパンダマークで時空をかきわけ、キャプテン・パンダと愉快な仲間達号がぷかりぷかりと進んでいく。

 格納庫には、銀河の果てのスクラップ置き場でみつけた、いにしえのポンコツ方式反応炉。なぜかシンセティック・ストリーム圏内では大人気のポンコツ反応炉を売りつけに、キャプテン・パンダと愉快な仲間達号はいま再び、シンセティック・ストリーム勢力圏内の銀河へと向かっている。

 そんなキャプテン・パンダと愉快な仲間達号の中では……



「えー……。マジデ!? マジデやるの!?」

 サディが真っ赤なリンゴみたいに赤い瞳をうるうるさせて、イヤイヤをしている。

「海賊放送稼業はしばらく休業。しかし、この船のせっかくの放送設備を眠らせておくのはもったいない。となれば、いわゆるフツーの放送ってヤツをやるのがいいんじゃねえの? という結論にたどり着くのはいたって当たり前だと思うけどな?」

 アークは腕を組み、サディに言う。

「あのさ……。ウチらがやってるのは、ラジオ放送ですよね?」

 サディがAXEから渡されたブツを手に、上目づかいでアークをみつめる。

「もちろん。ラジオ放送だ。たまーに宣伝のためにTVジャックをしたりもするが、この船はいまやキャプテン・パンダと愉快な仲間達号となって、TVジャックなんていう荒(あら)ごとからはおさらばしてだ。いわゆるフツーの放送で、フツーのリスナーを獲得(かくとく)し、フツーに投げ銭的(せんてき)にゼニーを投げていただきたい。そういう方針に変わっているわけだ。そうなると、宇宙で爆散四散(ばくさんしさん)して、おっ死(ち)んでることになってる俺が、ピンピンしてはっはっはっと放送しているのはなんともよろしくない。そういうことになるわけだ」

 当たり前だろう。という表情で、アークが片眉(かたまゆ)をあげる。

「あの……。TVジャックはもうしない。やるのはラジオ放送だ。ということは……。グラフィック的な要素は一切必要ないのでは……?」

 AXEから渡された猫耳付きカチューシャと、お尻用(しりよう)の着け尻尾(しっぽ)を震える手に持ってサディが言う。

「いいか? こういうのは本気度だ。それが大事だ。一見カワイイ着物の下に実はイカツイ戦闘服、お顔を突っ込む照準器にリボルバーカノンを模した主砲操作桿を前に、小悪魔子猫(こあくまこねこ)になりたいにゃん♡ とか言ってみても、そこにリアリティのかけらもねえ。まずは御本人(ごほんにん)がキャラになりきる。これが大事だ。そのための道具が、AXEが全身全霊(ぜんしんぜんれい)を込めて作ってくれた、その手に持っている猫耳と尻尾(しっぽ)ってわけだ」

 キリリと表情を引き締めて、アークがサディに冷酷に言う。

「あ、あの……、な・ん・で・あ・た・し・なんですか? AXEさんとかミーマさんとか、リスナーさんに人気でそうな方(かた)が他にも……」

 サディは助けを求めるように、背後に座るAXEとミーマを振り返る。

 澄(す)ました顔でレーダー盤と情報処理に向かうAXEとミーマは沈黙(ちんもく)。そして、タッヤが静かに問う。

「サディさん。あなたのこの船でのお仕事は?」

「せ、戦闘要員です……」

 サディがタッヤの質問に答える。

「では、サディさんの主なお仕事である、主砲はいまどうなっていますか?」

 タッヤが冷静な、いや、冷酷な表情で計器類をみつめたまま言う。

「た、タンクに偽装(ぎそう)されています……」

 サディはしょんぼりして答える。

「もういい加減、リボルバーカノン型の主砲操作桿を、これ以上磨(いじょうみが)いたら減っちゃうってくらいに磨(みが)いたでしょう? 主砲照準器の精度調整も、これ以上ないくらいにキッチリ合わせた。ドーム型のカバーをかける前に砲身も全部、アークと二人でモビルトルーパーでブラシを中まで突っ込んでキレイに掃除したでしょう? 副砲、バルスレーザー砲もすべて格納済みです。これ以上、何の仕事がありますか?」

 タッヤがじっと計器をみつめて言う。

「え……、えーと、んー、そうだな……。戦闘訓練? 演習とか? そうだ! 実弾演習をやろう!」

 サディのお目々がギラリと輝く。

「ダメです。却下(きゃっか)です。この船はキャプテン・パンダと愉快な仲間達号なんです。そんな物騒(ぶっそう)な行動をとったら、すぐにシンセティック・ストリームに目をつけられます。偽装(ぎそう)しているといっても、ほとんどの外装はイービル・トゥルース号のままなんです。艦影照合(かんえいしょうごう)されたら一発でアウトです。絶対に許可できません」

 タッヤが冷酷に切って捨てる。

「えー……。じゃあ、あたしの仕事なんかないじゃない!」

 そうタッヤに言った瞬間、サディの表情が……やっちゃった! というものにかわる。

「だからです。仕事がないなら、別の仕事をしていただきます。そういうことです」

 ギラリとくちばしを輝かせ、サディの持つ猫耳カチューシャとつけ尻尾をみつめてタッヤは言った。

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