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海賊放送船イービル・トゥルース号の冒険  作者: 悪魔の海賊出版
第二部・アイアン ボトム サウンドの怪

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出てこい! シンセティック・ストリーム!!

出てこい! シンセティック・ストリーム!!



 45口径46銀河標準センチメートル砲三連装四基十二門すべてが、ぽっかりあいた宇宙の大穴、グラジ・ゲートに照準をあわせている。

 synthetic stream艦が宇宙の大穴から鼻先でもみせようものなら、今どき時代遅れどころではないいにしえ兵器の実体弾十二発が、サディによってお体にブチ込まれ、残忍で残酷な冷酷極まる惨劇を生み出すことは間違いない。

「さ〜あ、出ておいで、シンセティック・ストリームぅ〜。おねーさんの素敵なアタックで、キレイな身体にキモチイイ穴ってヤツをあけてあげるよぉ」

 鋭く尖った犬歯をむきだし、舌なめずりをしながらサディがカワイイお顔を主砲照準器に突っ込み、宇宙にぽっかりあいたグラジ・ゲートに照準をあわせて、巨大なリボルバーカノンを模した主砲操作桿の引き金に指をかけている。

「ふぁぁ〜」

 イカツイシートをめいいっぱい倒して、アークは一発デカいあくびをする。

「機関長、コタヌーン殿。うるわしの本船のケツをアツくする、メインエンジンのご機嫌はいかが?」

 アークからの通信に

「いや〜。メインエンジンは相変わらず絶好調なんですが、うちの奥様が真っ赤に染まった計器類みて青い顔してアツくなってるんで、いま全力でメインエンジンもろとも冷やしているところですわぁ」

 とは機関室からのコタヌーン。

「よろしくたのむ。まあ、このまま静かにクールダウンだろうからな」

 と返してアークは機関室との通信を切る。

「五分たちましたね」

 タッヤが冷静に時計をみつめる。

「引き続き周囲警戒しましたが、本船のいる周辺宙域にはSS艦の存在は確認できません。前方グラジ・ゲートの向こうの世界ではどうなっているかはわかりませんけど」

 AXEがいちおうの安全を告げる。

「パルサー、ブラックホール、恒星等の配置から推測した結果、本船の現在位置は、タダ・サバイバー銀河、ポイント・スリー・フォー・シックス・ツー。本宙域はシンセティック・ストリームの勢力外銀河です。勢力圏外銀河に軍団規模の艦隊をいきなり送り込めば、外交的にビッグバン級にもめることになるのは間違いありません。しかも、グラジ・ゲートに飛び込んだ先には、熱くて硬くてナカで弾ける実体弾を突っ込んで、キモチイイ穴をあけてくれる素敵なお姉さんが舌なめずりして待っている。となれば、シンセティック・ストリーム艦隊がここまで追ってくることはない、と状況を判断します」

 ミーマが冷静に状況を述べる。

「コシヌケヤロウノ、モクロミショヲダシヤガレ」

 とはイクト・ジュウゾウ。

「な……、それは……、つまり……」

 サディが主砲照準器にカワイイお顔を突っ込んだままつぶやく。

「交戦はなしってことだな」

 アークがそう言って、もう一発デカいあくびをする。

「くそが!」

 サディとネガの言葉が見事にハモる。



 いまだシンセティック・ストリームに合流していないタダ・サバイバー銀河を、海賊放送船イービル・トゥルース号がゆったりと行く。

「しかし、ありゃいったいなんだったんだ?」

 ギャラクシータートル製菓の、カッキー・シードをポリポリ食べながら、アークが言う。

「うるわしの本船の素敵なケツに、いきなり突っ込んでくるほどアツくなってたね」

 ハミングバード・チョコレートファクトリー製の、ナイフの型をしたひとくちチョコをもぐもぐしながらサディが返す。

「いったい何が気に食わなかったのか、ですよね。公宙域での放送は、宇宙に統一された電波法と放送法が存在していない現在、海賊放送に当たるものは成立しないわけですし」

 ギャラクシータートル製菓の、チョッコレート・カッキー・シードをポリポリ食べながらAXEが言う。

「放送内容だって、シンセティック・ストリームはゴミだカスだクソゴミだ、まるでアホウタロウのケツノアナ。って言ってたわけじゃねえしな?」

 カッキー・シードの中にたまに入っているナッピーを、モグモグしながらアークが言う。

「モッキンバード星系遠征時の騒ぎで、全銀河にアークが指名手配されているとか?」

 小型の球形アイスがいくつもついたギャラクシーブドウアイスから、ひとつずつ球形アイスを食べながらミーマが言う。

「モッキンバード星系で私達は一度ならず二度までも沈み。壱番艦、弐番艦まで完全に撃沈され、乗組員は全員死亡していることになっていますからね。すでに死亡していることになっていて、しかもシンセティック・ストリームは自分の嘘を信じてしまう。となると、アーク・マーカイザックが銀河指名手配になることはない。ですね」

 発酵乳製品から作られた焼き菓子、チーズキックーをくちばしの中に放り込みながら、タッヤが言う。

「この船は三番艦ってことで、船自体が指名手配になってるってことかな?」

 サディが言う。

艦影かんえいで指名手配されて、追われている可能性はありますが……。それでも、ついこのあいだ寄った星ではそんなことはありませんでしたし、何より軍団規模の包囲網をしくのはやり過ぎで、指名手配船を追うにしてもあり得ないと思います」

 AXEがあの時、レーダー盤に映ったあり得ないほどの数の光点を思い出して言う。

「ん〜。あいつらアホだから、考えてることがわかんねえんだよなぁ〜」

 アークはそう言って、カッキー・シードにたまに入っているナッピーを口に放りこむ。

「クソが!」

 といつものごとく、ネガのガスマスクから、ハードな言葉が炸裂する。

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