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海賊放送船イービル・トゥルース号の冒険  作者: 悪魔の海賊出版
第二部・アイアン ボトム サウンドの怪
72/360

突入! 宇宙の大穴へ!!

突入! 宇宙の大穴へ!!



 嵐の夜に果てなく走る稲妻のように、ブ厚い硬化テクタイト製窓が閃光にまたたく!

「直撃! 直撃! また直撃です!」

 対抗障壁に次々ブチ込まれる、SS艦隊の斉射をミーマが告げる!

「対抗障壁領域使用率65%! 補助機関による冷却順調! まだ食らう余裕はあります!」

 さすがのタッヤも、極大威力のエネルギー兵器を相殺する対抗障壁の使用率が、50%を超えたあたりから冷静ではない。

「もういい加減ブッ放そうよ! グラジ・ゲートに突入する前に沈んじゃうよぅ!」

 サディの悲鳴が艦橋に響く!

「軍団規模のSS艦隊です! 全艦沈めるのにどれだけ時間がかかると思っているんです!」

 普段は冷静なAXEも声を荒げる!

「ツッコムノガサキカ、シズムノガサキカ」

 イクト・ジュウゾウが静かにつぶやく。

「グラジ・ゲートまであと20秒!」

 ミーマが唯一の脱出口、グラジ・ゲートまでの時間を報せる。

「この距離、対抗障壁領域の使用率。こいつは勝ったも同然だ!」

 アークがキリリと表情をひきしめて言う。

「バックレてるだけじゃんよぉ〜」

 サディの悲鳴に

「くそがぁぁぁっ!」

 とネガは叫ぶ!



「ひぃぃぃぃ〜っ!」

 あらゆる計器が入っちゃいけないレッドゾーンに突入しっぱなしの状態に、真っ青になったオクタヌーンの悲鳴が機関室に響き渡る。 

「もたない! 絶対にもたない! こんなリミットオーバーのオーバードライヴ状態だなんてぇ」

 爆発してもおかしくないのに、あり得ない出力を叩き出し続けるエニグマ・エンジンに、オクタヌーンがガクガク震える!

「あー、これは爆発しておっ死んでも、爆発に気づけないやつかもしれないなぁ」

 コタヌーンがのんきに死後の心配。

「オレタチニ、シゴノセカイナンテハナカラネエ!」

 あらゆるバルブを全開状態にしている、ロボットメカニック係長のイクト・フタロクのハードなセリフが機関室に響き渡る!




 艦橋前面、ブ厚い硬化テクタイト製窓の先にぽっかり開いた、あらゆる電磁波が戻ってこない漆黒しっこくの宇宙の大穴おおあな

「グラジ・ゲートに突入するぞ!」

 アークが自席で親指を立てて勝利宣言!

「くそがぁぁぁ!」

 銀河一逃げ足の早い操縦士が雄叫おたけびをあげて、宇宙にひらく大穴に最大戦速まで加速した巨大な宇宙戦艦を突っ込ませる!

「これが宇宙の愛なのかしらぁ〜?」

 なぜかほほを赤く染めたミーマの声が艦橋に響き渡る!

 てめえは、できそこないの世界を作っちまった、正真正銘しょうしんしょうめいのテキトー野郎だ。

 そう指摘してきされることを恐れて、世界を作りあげた後に、冷や汗ダラダラこっそり不眠不休ふみんふきゅうで作り上げた、神のチートホールをドクロが描かれた艦首がつらぬく!

 艦橋前面、ブ厚い硬化テクタイト製窓の外は、意味不明理解不能の万華鏡が七変化✕1024!

「うぉぉぉぉお〜。目がまわるぅ〜」

 サディの悲鳴が艦橋に響く!

「閉じろ閉じろ! 目を閉じろ! グラジ・ゲート抜けたら、SS艦に好きなだけブッ放していいんだぞ!」

 アークがまたかよという顔で言う。

「で、でも、みていたい!」

 SS艦にブッ放す誘惑と、グラジ・ゲートの神秘の誘惑にサディが揺れる。

「グラジ・ゲートなんてまた通ればいいじゃないですかぁ」

 とはタッヤ。

「ゴリヨウニハ、ニュウジョウケンスライラネエゾ!」

 とはイクト・ジュウゾウ。

「宇宙の愛ってこういうことなのかしらぁぁぁ?」

 と再びほほを赤く染めたミーマ。

「……レーダー復帰します」

 AXEの冷静な声が、イービル・トゥルース号がグラジゲートを脱出することを告げる。

 ブ厚い硬化テクタイト製窓の外で繰り広げられていた、意味不明理解不能な万華鏡の七変化が落ち着きはじめ、いくたの星々が瞬く銀河の姿へと変わる。

「周辺にSS艦の存在なし」

 AXEの冷静な声。

「クソが!」

 逃走の成功に、ネガは拳を握りガッツポーズ。

「いっくよぉ!」

 サディがリボルバーカノンを模した主砲操縦桿の引き金を引く。

 ズッガーーーン!!!

 艦橋をふるわせらしとどろく爆音! ブ厚い硬化テクタイト製窓が、橙色だいだいいろの閃光に塗りつぶされる!

 艦橋前面最前列の主砲が方位90に向けて爆薬式が生み出す業火ごうかを発射。同時に艦底艦尾最後尾かんていかんびさいこうびの主砲が方位270へ向けて爆薬式の業火ごうかを発射。たった一隻でシンセティック・ストリームに対抗しうる、ビックリドッキリ驚愕驚異きょうがくきょういの宇宙戦艦の巨体を、主砲が生み出す反動が大回転させる。

 ブ厚い硬化テクタイト製窓の外は、すべてがきらめき流れる大流星群ッ!

「うぉぉぉぉ」

 アークが自席で流れる星々に声をあげる。

「くそがぁぁぁぁっ!」

 主砲発射の反動が生み出した回転力にあらがううために、回転方向反対に操縦桿を全力で倒し、ネガは船を制御する。

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