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海賊放送船イービル・トゥルース号の冒険  作者: 悪魔の海賊出版
第二部・アイアン ボトム サウンドの怪

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危険なサディのご英断

危険なサディのご英断



「いっておいで〜」

 サディの陽気な声が艦橋に響く。

 またも艦橋中をひっくり返す、議論に議論を重ねて検討を加速に加速した粒子りゅうし衝突しょうとつし未知のエネルギーを爆散させ、未知の思考の果てまで行きつ戻りつした結果、サディがこの船の明暗を分ける名案を思いつき。

 それではそいつに賭けるしかあるまいよ。という話に落ち着き、今まさにサディの秘策が実行にうつされていた。

 ぶ厚い硬化テクタイト製窓の先には、小破、中破、大破、全損、爆発、爆裂、爆散、散華、その他もろもろ。兵どもが夢の跡、宇宙戦艦の阿鼻叫喚末期断末魔あびきょうかんまつごだんまつまの大博覧会と化した大死体展示場。そこに向かって真っ暗な宇宙にメタリックボディをギラギラに輝かせる、イクト・十三ジュウゾウ率いる総勢90名の大捜索隊が、アークが突き止めたというお宝を乗せた艦と同時代の艦がダマになっておっ死んでいるところを探しに、いま宇宙の墓場へと散っていく。

 え? 90名の大捜索隊だと? そいつはいったいどこから現れた? ずっとこの物語を読んでいるが、艦橋にいる素敵なパンダ船長様といつものこりない面々と、機関室をドライブさせる例のドラブラブカップルしか知らぬだと?

 ふむ。ここまでこの物語を読むといい、貴殿、さては反抗的なやからだな?

 よろしい。大変に素晴らしい。反抗的なのは大歓迎だ。なにせうるわしの本船は、反抗的態度極まる海賊放送船なのだからな。反抗的な態度というものは、アークの海賊放送栄養賞を授かっていいものだ。栄養というのは誤字ではない。海賊放送稼業に必要なのは、栄誉ではなく栄養だからだ。俺たちはガチでマジのバチバチな戦争屋みたいなもんだ。戦争屋にとって一番大事なのは、飯を食うことに違いはないってわけ。

 それでは、こいつははいい機会であると考えて、本作品の説明責任を果たすとしよう。


 銀河を統一平定せんとするsynthetic streamに対抗しうる、ビックリドッキリ驚愕驚異きょうがくきょういの海賊放送船。その名もイービル・トゥルース号の乗組員は、なんと総勢127名いる。

 どうだ? おどろいたか? そうかそうか。説明したかいがあるというもの。

 いや、これでも少ないほうなのよ。ガチでバチバチに武装したシュートな海賊放送船を動かすには、最低でも180人くらいは必要だ。synthetic streamの艦なら数百人は乗っている。それを127人で驚愕驚異のビックリドッキリ海賊放送船を銀河の果てに向かってぶっ飛ばしていることは、マジのガチでワオであり、これはもうおほめいただいてよい事案だと思ってる。もっとも、どこかの伝説的な宇宙海賊船は、40名で動かしているという話もあるが、それはまた別のお話。

 なに? そうじゃない? 

 そのダンディさであらゆる可愛もの好きをキラーすると呼ばれるパンダ船長様と、いつもの艦橋にいるこりない面々と、機関室のドラブラブカップル以外の人員は、いったいどこからわいて出たのか? ということだと?

 ふむ。そっちであったか。失礼失礼。

 ただいま、兵どもが夢の跡、宇宙戦艦の阿鼻叫喚末期断末魔の大博覧会と化した大死体展示場に、この俺、アーク・マーカイザックが突き止めたと主張する、お宝満載の宇宙戦艦を探しに向かっている面々は……

 アイアンブルーとガンメタルグレイの艦橋に、ギンギラメタルボディを輝かせる。リョウシュウショヲダシヤガレ! の粋な発言でおなじみ、ロボット乗組員イクト・ジュウゾウ特務捜索隊長とくむそうさくたいちょうひきいるロボット乗組員によって急遽編成きゅうきょへんせいされた大捜索隊なのだ!

 さきほど127名と言ったが、君のよくご存知のいつもの面々以外は、つまり全員ロボット乗組員なのだよ。(いつも艦橋でがんばるイクトが、ジュウゾウさんです)

 まあまあまあまあ。考えてみてくれたまえ。45口径48銀河標準センチメートル砲三連装四基十二門搭載のバチガチのシュートな海賊放送船を、いったいどうやって動かしているのか? ロボット様ですよ。ロボット様のお力ですよ。海賊放送船に乗り組んだ、ロボット様達が毎日毎日、船内をきれいにピッカピカにお掃除してくれる。そのおかげで、飯は人間が独り占め。イカツイ艦橋のイカツイシートから、リボルバーカノンに模したイカツイ主砲操作桿でもって、真っ赤なリンゴみたいな赤い瞳をギラギラさせて、サディお嬢様がその想いをぶちまけるがごとく、ドッカンドッカンぶっ放せるというわけ。

 おっと。ダイブ機密情報までしゃべっちまったか? 最後に大事なことをひとつ。この話、synthetic streamに漏らしたら……

 どうなるか、わかるよね? 

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